宇野良治。医師、医学博士
Office Uno Column
TVのCMやインターネットで「乳酸菌」と気軽に言われていますが、
乳酸菌はヤクルトで知られている「乳酸桿菌:にゅうさんかんきん」だけではありません。
まず、基本的なことは、乳酸菌=ラクトバチルス目
を意味しています。
そして乳酸菌=ラクトバチルス目には、遺伝子配列の類似性から、
以下の6つの科があります。
乳酸桿菌科
レンサ球菌(ストレプトコッカス)科
腸球菌(エンテロコッカス)科
ロイコノストック科
アエロコッカス科
カルノバクテリウム科
ウィキペディアでも乳酸菌の6科について書いています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%90%E3%82%B7%E3%83%A9%E3%82%B9%E7%9B%AE#:~:text=%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%90%E3%82%B7%E3%83%A9%E3%82%B9%E7%9B%AE(Lactobacillales)%E3%81%A8%E3%81%AF,%E5%BA%83%E3%81%8F%E4%BD%BF%E7%94%A8%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82
そして、
これまで、胃癌の発生している胃の細菌叢には乳酸桿菌科とレンサ球菌科が強く関与していると報告されていることを述べてきました。新書でも130~132頁で書きました。つまり、上の黄色が胃癌と関係しています。そして、さらに、水色の腸球菌が胃ガンの発症に関与してる可能性が示唆されました。
2020年9月に中国General
Hospital of Ningxia Medical Universityから胃ガンのある人での腸内細菌叢で乳酸菌である乳酸桿菌、レンサ球菌、腸球菌が増加していることが報告されたのです。
Evid Based Complement Alternat Med.
2022; 2022: 5834293.
この論文では、特に腸球菌の毒性については、立ち直れないほどに書かれました。
その内容を記します。
「現在、腸内細菌叢の変化は胃ガンと密接に関係していると考えられています。腸内細菌組成の変化は微生物叢の生理学的相互作用を破壊し、腸の免疫システムに関連して慢性炎症や癌を引き起こします。腸内細菌叢は宿主の免疫系を継続的に活性化できると考えられており、さまざまなメカニズムを通じて抗腫瘍免疫応答を促進します。胃癌は正常な腸内細菌叢の不均衡を引き起こし、腸内微生物生態系の乱れは病原菌の侵入、増殖、増殖を引き起こし、免疫系と粘膜バリアの恒常性を破壊する可能性があります。その後の炎症プロセスは、腸の透過性の増加につながり、腸内微生物が持続的な炎症状態を引き起こし、有害物質が腸を通って血液に入り、炎症反応を引き起こします。
今回の結果では胃ガン患者の腸内最胃菌叢で腸球菌が有意に増加していましたが、腸球菌はヒトの感染の重要な病原体です。尿路感染症、皮膚感染症、軟部組織感染症を引き起こすだけでなく、生命を脅かす腹部感染症、敗血症、心膜炎、髄膜炎を引き起こすこともあります。腸球菌は宿主に病的変化を引き起こす多くの要因を生み出すことができます。腸球菌のEnterococcus faecalisによって産生される多形核白血球ケモカインは、腸球菌感染に通常伴う炎症反応を媒介するか、少なくとも部分的に媒介することができます。腸球菌は感染の重症度を高める可能性のあるプラスミドにコードされた溶血素も産生する可能性があります。また、エンテロコッカス血小板凝集およびサイトカイン依存性フィブリン産生を誘発する可能性があり、これは腸球菌性心内膜炎の病因に関連している可能性があります。コペンハーゲン大学のStrickertsson等はEnterococcus faecalisとヒト胃ガン細胞との関係を調査し、
Enterococcus faecalisの感染が胃ガン細胞のミトコンドリアDNAの不安定性につながり、炎症応答タンパク質をコードする遺伝子の転写が上方制御された一方で、DNA 損傷修復および細胞周期制御遺伝子はダ下方制御されたことを示しました(PLoS One. 2013 Apr 30;8(4):e63147.)。つまり、Enterococcus faecalis感染は、胃細胞の炎症反応を増加させ、ミトコンドリアゲノムを破壊する可能性があります。」
もう、ボコボコって感じです。
つまり、乳酸菌である腸球菌は感染や炎症の原因になるばかりではなく、遺伝子レベルで発ガンに関係することが示されているのです。
Enterococcus faecalisとピロリ菌による感染には多くの類似点があることから、 ピロリ菌以外の病原菌による感染を提案します。胃の腺癌細胞にさらなる損傷をもたらす癌促進イベントを誘発する可能性があります。Enterococcus faecalisの感染がROSの細胞内産生を誘導することがわかりました。ミトコンドリアによる酸化的リン酸化は感染後は低く、ROS産生は主に感染細胞内でオックスフォスに依存しない方法で生成されたことを示しています。ROS は細胞シグナル伝達や老化などのいくつかの生物学的プロセスに影響を与え、微生物の侵入に対する宿主防御において重要な役割を果たしますが、ROS の過剰生産は細胞毒性および発がん性があります。
PLoS One. 2013 Apr 30;8(4):e63147.
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Enterococcus
faecalis(エンテロコッカス‣フェカリス)は日本では善玉菌として販売されています。
もう、「乳酸菌」って言葉は、使わない方がいいのかもしれません。
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なお、便秘と食物繊維のYouTubeは、これです。
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宇野は健診施設でバイトしていますが、病院勤務していません。
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