日本低フォドマップ食推進会
会長 宇野良治、医師、医学博士
たとえば、以下の話は正しいでしょうか?
「ストレスを受けると血液や唾液のコルチゾールが増加します。
我々の開発したプロバイオXのマウスによる実験では、ストレスがある状況で、
毎日服用すると、ストレスで高かったコルチゾールが、日ごとに低下することが確認されました。つまり、プロバイオXは、ストレス緩和作用があることが実証されたのです。」
論理的に矛盾はありません。
多くの、いや、ほとんどの日本人は、正しいと思うに違いありません。
しかし、これは、間違っています。以下を知っているのであれば、巧みな嘘です。
まず、「ストレスを受けると血液や唾液のコルチゾールが増加します」
これは、急性ストレスの話です。
急性ストレスでは、制御不能な場合はコルチゾールが増加しますが、
制御可能な場合(回避を含め)では、コルチゾールは低下します。https://bpsmedicine.biomedcentral.com/articles/10.1186/1751-0759-5-8
つまり、急性ストレスでもストレスの内容によって異なります。
しかし、それよりも重要なことは、慢性的なストレスでは、自然にコルチゾールが低下するということです。
Gong, Shuai, et al. "Dynamics and correlation of serum cortisol and corticosterone under different physiological or stressful conditions in mice." PloS one 10.2 (2015): e0117503.
この論文は、設立1906年の中国の山東農業大学から2014年にPLOSONに掲載されたものです。
ここで、注意する必要があるのは、慢性的ストレスには、たとえば、卒業試験や資格試験などのように目標時期が決まっていて、長期的プランを立てることのできるストレスと、たとえば、学校や職場での慢性的な予想できないストレスと異なるということです。
ストレスとコルチゾールの専門家である井澤修平博士の論文によれば、卒業論文の提出の1か月前からコルチゾールが増加し続け、論文提出後に低下します。
https://psych.or.jp/publication/world084/pw06/
つまり、目標と期間が決まっているストレスでは、目標に向かって努力していればコルチゾールが増加します。
たとえば、スポーツ観戦で勝利を信じ込んで応援している人のコルチゾールは非常に高いことが証明されています。つまり、成功すると信じ込んで努力しているとコルチゾールが高いのです。
そもそも、コルチゾールは、医学的に肝臓での糖の新生、脂肪の分解、タンパク質代謝、血糖上昇作用などの代謝作用を有し、また、抗炎症および免疫抑制、アレルギー反応抑制などにも関与する生体にとって必須のホルモンであり、(精神的ストレスを排除すれば、)外傷や感染、寒冷や高温、手術などで損傷した細胞が存在するために必須なホルモンです。
私の個人的な意見としては、コルチゾールは、単にストレス物質の悪役ではなく、目標に向かってモチベーションを維持するために必要な(アドレナリンのような)闘争ホルモンであり、このホルモンが目標達成までに低下すると、成績が低下する危険性があります。たとえば、受験して合格しても、学校にも行けない燃え尽き症候群に陥った場合、うつ病と異なり、コルチゾールが低下していることが、モントリオール大学から報告されています(ただし、コンセンサスは得られていませんが)。
医師国家試験に合格して、医師になった途端に慢性疲労症候群になった人達をみたことがありますが、この場合も、燃え尽き症候群に類似しているように思いますが、実際、慢性疲労症候群でもコルチゾールの低下が確認されています。
さて、本題に入ります。
学習性無力感は、「自分の行動が結果を伴わないことを何度も経験していくうちに、やがて何をしても無意味だと思うようになっていき、たとえ結果を変えられるような場面でも自分から行動を起こさない状態」のことをいいます。
闘争・逃走反応で示さているように、急性ストレスは、心臓の鼓動が速くなり、交感神経系が活性化され、体はコルチゾールとアドレナリンを分泌し、行動を起こす準備をして、攻撃的になるか、さもなければ逃走を選択します。闘争を選択すれば、コルチゾールとアドレナリンが増加します。
このような反応は慢性ストレスでも存在するとすれば、(例えば、長期の戦争のように)長期のストレスでも闘争するか逃走するのかという判断があって、無力感はいわば逃走であり、コルチゾールもアドレナリンも減少するのではないか?と私は思うのです。
では、闘争か、逃走か?を決めるような因子が腸内細菌叢にあるのでしょうか?
というのは、人間は逃走する草食動物と、闘争する肉食動物の両方の食事をしているので、
食事によって変化する腸内細菌叢の影響がないのか?知りたくなります。
そして、調べたところ、そのような研究がありました。
動物実験で、ストレスによって学習性無力感に陥りやすいラットは、ストレスのない人やストレスに柔軟なラットと比べて、その腸内細菌叢で乳酸桿菌などが増加していることが、
千葉大学法医学メンタルヘルスセンター臨床神経科学科から報告されています。
Zhang K, et al. Abnormal composition of gut microbiota is associated with resilience versus susceptibility to inescapable electric stress. Transl Psychiatry. 2019 Sep 17;9(1):231.
また、金沢大学の荒木友希子准教授の研究では、避けられないストレスで防御的悲観主義の場合は、ストレスで増加する唾液アミラーゼが低下することが確認されています。対して、方略的客観主義では、アミラーゼが増加します
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sjpr/46/1/46_141/_pdf/-char/ja
つまり、「ストレスを軽減する」というのは、
1)闘争:ストレスに立ち向かう強さを得るという意味
と、
2)逃走:ストレスから逃げる意味
2つの意味がありますが、
コルチゾールが低下するのは、2)です。
その場合は、確かに楽になるとしても、目標を見失う、あるいは達成出来ないかもしれません。
しかし、朝のコルチゾール値が相対的に高くなる場合、目覚めは良くなるでしょう。
## 言論統制があるため、何を言っているのか、わからない文章をあえて書いています。
お許しください。
これらの結果を踏まえて、販売されている商品を吟味する慧眼が必要です。
追記:
アスリートの競技前のコルチゾール値を研究した結果では、国際レベルのアスリートは地域レベルのアスリートよりもコルチゾールが増加しないことがわかっています。つまり、経験が豊かになれば、コルチゾールを上げずに、それなりのパフォーマンスが可能になるということかもしれません。
https://bmjopensem.bmj.com/content/3/1/e000261
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そうそう、忘れていました。
いつも、「じゃ、どうすればいいのですか?」
ということを聞かれるので、
答えておきます。
ストレスで、闘争・逃走を感じやすくなるのは、
コーヒーや糖質の多い食べ物だとされているので、
それらを控えた方がいいでしょう。
さらに、鶴見大学の研究では、
ガムを噛むと、コルチゾール値が低下するとされています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsd1986/10/1/10_1_47/_pdf/-char/ja
昔よく、プロ野球の外人選手が、
ガム噛んで、唾をペッペと出していましたが、
ストレス対策だったのかもしれません。
また、
コルチゾールが減るということは、食欲抑制にもなるので、
私も、よくやっていました。
キシリトールはFODMAPなので、飲んではいけません。
1人の部屋でコップに唾液を出すのがコツです。
コップ一杯になれば、結構、有効な気がします。
(よう、わからんけど・・・)

