日本低フォドマップ食推進会
会長 宇野良治、医師、医学博士




培養法






善玉菌仮説は、現在わかっている腸内細菌叢の種類の1%以下の細菌種での仮説であって、

健康な成人にはほとんどいない細菌を善玉としている。

さらに、培養法で、小腸に菌が多くあると腹部症状を来すというSIBOも、

実際には無害の細菌が増えているだけという。


つまり、

善玉菌もSIBOも、ゲームオバーで終了。




このような、

つまり、細菌培養法による勘違いの研究は、消化器だけの話ではなく、

たとえば、耳鼻科でも、口腔内の特定の細菌が口腔内の癌と関係しているという仮説も

過去の培養法での研究は、誤りではないかと指摘されている。

Crit Rev Oncol Hematol. 2019 Jul;139:31-40. 
Culture-independent studies on bacterial dysbiosis in oral and oropharyngeal squamous cell carcinoma: A systematic review




細菌培養法はもはや、その方法で研究をしてはいけない時代になった感がある。


そう思うことを強烈に裏付ける事実がある。


従来、人の血液を採取して培養しても、

敗血症でないかぎり、細菌は培養されなかったために、

人の血液中には菌が存在しないというのが常識であった。


しかし、

培養法ではなく、16S rRNAによるメタゲノム解析では、

敗血症でなくとも、細菌が存在することがわかってきた。

これだけでも驚くべきことだが、

健常者の場合には、血液内の細菌種には、それなりの種類のバランスがあり、

例えば、胃癌の患者では、健常者と比して、バランスが崩れているという。

Front. Oncol., 09 July 2019 | https://doi.org/10.3389/fonc.2019.00608
Detection of Microbial 16S rRNA Gene in the Serum of Patients With Gastric Cancer

胃癌患者の血清中の微生物16SrRNA遺伝子の検出


この論文の日本タイトルを見ただけで驚きだが、抄録を読むと、もはや、時代が変わったことを実感するしかない。


<抄録>
血液細菌微生物叢の異常は、癌を含むいくつかの非感染性疾患で特定され、検証されています。胃がんの発生と進行は、微生物叢の組成の変化に関連していることがわかっています。ただし、胃癌患者の血液微生物叢の組成はよく特徴付けられていません。この仮説を検証するために、胃がん患者の血清中のマイクロバイオータ組成を調査するためのケースコントロール研究を実施しました。血清微生物叢は、胃癌、異型過形成、慢性胃炎の患者、およびV1-V2領域を標的とする16SrRNA遺伝子配列決定を使用した健康な対照で調査されました。私たちの結果は、胃癌の血清微生物叢の構造が他のすべてのグループとは有意に異なることを明らかにしました、アルファの多様性は、健康な対照から胃癌の患者に減少しました。血清ミクロビオームは、腫瘍リンパ節転移(TNM)病期、リンパ管転移、腫瘍径、および胃癌の浸潤深度と有意に相関していた。3つの属または種、すなわち、アシネトバクター、バクテロイデス、ヘモフィルスパラインフルエンザは胃癌の患者で濃縮されたが、スフィンゴモナス、コマモナス、およびシュードモナススタッツェリは健康な対照で濃縮された。さらに、血清微生物叢の構造は、胃癌のリンパ系転移と非リンパ系転移の間で異なっていた。胃癌の血清微生物叢を特徴づけるためのパイロット調査として、私たちの研究は、胃癌の病因における微生物叢の役割の理解を向上させるための基礎を提供しました。


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でもやはり、

もっとも、驚くのは、この論文のイントロだ。

私が、10年前から言っていたことが、そのままの文章で記載されていた。


「マーシャルとウォーレンによって特定されたヘリコバクターピロリ感染症は、胃癌の発症に重要な役割を果たします。しかし、感染した個人のわずか3%しか胃癌を発症しません。さらに、ピロリ菌除菌に成功しても、胃癌の発症を完全に防ぐことはできません。これらの観察結果は、ピロリ菌以外の要因が胃癌の進行に寄与することを示唆しています。分子技術とバイオインフォマティクスの最近の進歩により、胃の中に複雑なマイクロバイオータが発見されました。これは、病気を誘発する可能性があります。研究によると、胃癌患者ではマイクロバイオータの多様性が低下し、特定の分類群の組み合わせを使用して胃炎と胃癌を区別できることが示されています。胃の微生物叢の多様性と組成は、炎症の重要な決定要因として、また胃癌の主要なプレーヤーとして特定されています。」


この論文では、早期胃癌も血液中の細菌分析で発見可能だと書いているので、

胃カメラやバリウムでの健診は20年以内に消滅するかもしれない。




現在、


血液サンプルで、

16S rRNAによる血液内細菌のメタゲノム解析によって、

パーキンソン病、腎疾患、心血管疾患、肝線維症などがスクリーニングできるようであり、

今後、人間ドックでは血液細菌分析が重要な検査になることを予言する。

日本の高度なスパコンの技術は、この分析に応用すべきであろう。