宇野良治、医師、医学博士




明日、東京の著名なサイエンス・ジャーナリストによるズーム ・インタビューがあり、

下調べをしていたところ、

なつかしいスライドが出てきた。

私が、善玉菌に異議を唱えていた時のものだった。

図1

光岡氏は自分で発見した菌を絶対に有用な菌という信念のもと、

「ビフィズス菌と乳酸菌は健康に有用だ」という考えを疑うこともなく、

「善玉菌」という概念を提起した。

彼にとって、善玉菌以外は「悪玉菌」「日和見菌」となった。


その単純な善悪プロパガンダは、国民に消費を促す経済政策とコラボし、

日本における機能性食品の先駆けとなった。

日本でそれを学んだ英国農学者も市場主義のプロバイオティクスを世界中に広めた。


1980年代までは、培養可能なごくわずかの細菌の種類で、さまざまの仮説が立てられいたが、

その後、遺伝子工学を応用した細菌学の進歩によって、

腸内細菌の種類は1000以上存在することがわかり、

培養できず、作用が不明な菌ながほとんどであるため、

菌の仲間の集団の偏りの違い比較するようになった。

そして、従来、善玉菌と言われていた菌は、たまたま、培養されただけの菌であり、

健常の成人では、ごく少数しか存在しせず、潰瘍性大腸炎などの疾患で、

増加するなどの報告はみられた。


潰瘍性大腸炎


つまり、「善高菌」は、

1980年代の時期、細菌学の流行語を広めたという医学史的な評価は得られるであろう。


しかし、単純な善悪プロパガンダは、永遠に脳裏に残ってしまうため、

それが、人類の脳から消えるまでは100年かかるかもしれない。




その「善玉菌」の生みの親である光岡知足さんは、

2020年12月29日に逝去した。(私の父と同じ命日)

幸せな人生だったであろう。


ご冥福をお祈りする。


私は、あなたを忘れない。



https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%89%E5%B2%A1%E7%9F%A5%E8%B6%B3