飲酒で逆流性食道炎の2倍増加:メタ分析結果

 

 

宇野良治、医師、医学博士

 




これまで、医学界では、アルコール摂取で逆流性食道炎が増えるという研究報告と、

無関係であるという報告が混在していた。


そのため、自らが酒飲みの医師は都合のいい研究結果をもとに、

逆流性食道炎の患者に対し、こう言っていたかもしれない。

 

「お酒は大丈夫だから、飲んでいいですよ」

 

2018年、これまでの研究報告をまとめて審査し、

検討した結果、
オッズ比が2.12になることが報告された。

 

https://academic.oup.com/alcalc/article/54/1/62/5090261#129663627

 

Alcohol Consumption and the Risk of Gastroesophageal Reflux Disease: A Systematic Review and Meta-analysis


2015
の記事の中から、重複した記事や基準を満たさない文献を除外し、

検討に値した29の報告が検討対象となった。それらの患者数の合計は119,552人であった。

そのなかで日本の研究報告は7報告が選出された。

 

週3日未満の飲酒者を非時折飲酒者と比較した場合の要約OR1.29であったが、


頻度が週に35回以上の飲酒では、OR2.12に大幅に上昇
していた。



G1

 

日本を含めたアジアでは、アルコール摂取と逆流性食道炎に有意な関係を認めたが、


欧州のデータでは関係を認めなかった。

 


逆流性食道炎とアルコール依存症の罹患率から鑑みれば、

リスク比は約2とすると、週3日以上アルコールを摂取している人は、

摂取していない人と比して、約2倍、逆流性食道炎になるといえる。

この論文の著者は、逆流性食道炎では、アルコール摂取を控えるべきであると記した。


特に、上の表の赤マーカーは、日本からの報告であり、

全ての報告で、飲酒で逆流性食道炎が増加していたことを示している。


つまり、

日本人で逆流性食道炎を生じている人は、

つまり、多くの日本人は、

逆流性食道炎を予防する意味から、

アルコールを摂取すべきではないかもしれない。


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なお、

アルコールによる逆流性食道炎の悪化の理由は、以下が考えられている。

1)食道と胃の粘膜に直接的にダメージを与える。
  (Ness-Jensen and Lagergren、2017)

2)エタノール摂取で細胞内の毒性のある活性代謝物アセトアルデヒドの蓄積する。
   (Yin et al., 1993)

3)エタノールによって食道が弛緩して逆流しやすくなる。
   (Mayer et al., 1978)

4)ビールやワインでガストリンが分泌され胃酸が増加する。
   (Singer and Leffmann、1988)
   

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/labs/pmc/articles/PMC2880354/




また、アルコールと関係のなさそうな欧州のドイツでも、

白ワインを飲んだ実験で、2倍、逆流したという結果がある。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11922547/

 



さらに、気になる情報がある。

2020年に米国からの報告では、

逆流性食道炎があると、肥満よりも、心筋梗塞になりやすい

という結果でだった。

J Neurogastroenterol Motil 2020; 26(4): 471-476  

The Risk of Acute Myocardial Infarction in Patients With Gastroesophageal Reflux Disease


https://www.jnmjournal.org/journal/view.html?uid=1625&vmd=Full


その理由は、逆流性食道炎のために炎症性メディエータが多量に産生され、

それが心臓の血管に悪影響する、

食道への酸刺激で心臓の冠動脈の血流を低下させ狭心症を引き起こす

(連鎖狭心症:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8737215/ )という理由である。


これは、私自身、納得のエビデンスである。


炎症性メディエーターが増加するのであれば、

線維筋痛症を発症しやすいのか?

と考え、調べたところ、

逆流性食道炎があれば、線維筋痛症を1.5倍発症しやすいとわかった。


https://journals.lww.com/pain/Abstract/2017/10000/Bidirectional_association_between_fibromyalgia_and.16.aspx




さらに、逆流性食道炎は胃癌よりも予後の悪い食道腺癌の原因疾患であるだけではなく、

喉頭癌や咽頭癌になりやすいという報告もある。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15744163/


https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11467626/


つまり、逆流性食道炎は、

ただの食道の炎症ではなく、

肥満よりも万病のもとのようである。



ということで、


明日からの仕事での逆流性食道炎(GERD A以上)の指導は、以下になる。

「アルコールで逆流性食道炎が悪化するので、

お酒、控えてください。私も同じ病気ですが、お酒をやめました」



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欧州では因果関係がないことから、

海外のサイトでも、とんでもない記事がありますが、

英語でのまともな記事は以下です。

https://www.arkbh.com/alcohol/effects/stomach/gerd/



https://whiskyride.com/whisky/does-whiskey-give-you-heartburn/

ウイスキー