Yoshiharu Uno, MD, PhD
宇野良治
医療も従事している多くの人を雇用している経済活動である。
医療経済が潤うどころか、
米国では、2020年の医療費が、1960年以来の減少を記録し、
それも、とてつもなく大幅な減少であったことが判明した。
「医療の質を上げることで医療費を抑制できる」
「真空パック、防腐剤、冷凍食品、電子レンジの普及によって、食品購入量が増加したため米国人が肥満になった」
など、ユニークな研究を報告してきたハーバード大経済学教授のDavid M. Cutler, PhDは、
新型コロナが米国のヘルスケア経済に与えた影響を記し、その対策を記した。
要点を箇条書きにする。
JAMA:
2021/9/2
How
COVID-19 Changes the Economics of Health Care
●2020年の医療支出は前年度より減少した。前年より減少したのは1960年以来初めてであった。
●支出の減少は約1,500億ドル(約16兆2000億円)で、個人の医療支出の約5%減少であった。
●最も減少したのは歯科支出で12%減、介護施設5%減、医師給与2%減であったが、増加は病院1%増、処方薬%増、在宅医療1%増であった。
●ヘルスケア事業は、雇用を減らすことによって支出の削減に対処し、パンデミックの最盛期には医療従事者の雇用は10%近く減少した。
●パンデミックの間、予防サービス、医師の診察、COVID-19以外の入院などの利用は著しく減少した。
●固定費支出等の問題で、小規模のヘルスケアグループは大規模グループが買収や統合される傾向がみられる。
●医療のオーバーヘッドを削減する必要がある。
要するに、新型コロナで病院、薬局、在宅事業はわずかに増収したが、介護や予防サービス、コロナ以外の入院が減少し、それらを行っている小グループが経営困難になり、M&Aが生じているということであろう。
この医療支出減少は、規模は異なっても、日本でも生じている。
2020年度の医療費は1兆6000憶円減少の予測で、今年の夏に正式に公開される予定であるが、まだ、正式発表されていない。https://gemmed.ghc-j.com/?p=41158
この規模での減収(病院・診療所数=9.6万として、平均1700万円赤字)とすれば、すでに銀行管理になっている多くの中小民間病院は、M&A、大幅な規模縮小、廃業が選択される。そのため、日本でも、公私を問わず、中小病院のM&Aによるオーバーヘッドの支出削減が必要であろう。例えば、中小病院による中途半端な予防サービス部門は、健診専門グループへ移譲して、コストを削減し、在宅事業の強化に努める必要があろう。
