宇野良治
ピロリ菌を除菌すると胃の炎症は消失するが、
萎縮性胃炎の範囲が広いケースや腸上皮化生が存在するケースでは、
萎縮性胃炎や腸上皮化生はほとんど改善しない事を、
内視鏡検査だけで確認してきた。
しかし、
最近、
1日100人以上の胃のバリウム検査の写真を毎日読影しているが、
その事実が内視鏡検査よりも、バリウム検査で鮮明に分かることに気が付いた。
除菌したあとは、確かに炎症の消失によってヒダの浮腫は消失するが、
粘膜像の陰影(模様)は全く変わらない。
バリウム検査では腸上皮化生は診断しやすいが、
内視鏡でそれを再現するにはインジゴカルミンを散布しなければわからない。
ところが、ほとんどの内視鏡医は、色素散布しないで、腸上皮化生の有無を判断している。
それでは、よっぽどひどい腸上皮化生しか診断できない。
また、盲目的な生検での定点観察による組織診断では腸上皮化生の存在ではなく、
面積によって確率的に腸上皮化生が減少したかのように判断される。
分布ではなく、面積と胃癌発生が関係しているという証拠はない。
広範な萎縮の粘膜と腸上皮化生の存在は、
ピロリ菌を除菌しても胃癌のリスクが減らないという客観的証拠である。

つまり、内視鏡検査で色素を散布しないで、
腸上皮化生がないと診断すべきではない。
ピロリ菌除菌後に内視鏡検査で炎症が改善することを
萎縮性胃炎が改善したと勘違していないか。
このことが、ピロリ菌除菌で胃炎が改善して胃癌が減るという妄想の根底にある。
いろいろ情報を得たが、
除菌しても胃炎が改善しないというのは、胃バリウムの世界では常識のようである。
不十分な内視鏡検査で作り上げられた都合のいい妄想は、
バリウム検査では完全に誤りだとわかるのである。
