宇野
まず、
最近の2つの論文を提示する。
論文1)感染後の中和抗体の持続
2020年10月28日
Science 28 Oct 2020:
eabd7728
DOI: 10.1126/science.abd7728
米国NYのマウントサイナイ大学で、新型コロナ患者の中和抗体について30日目、82日目、148日目に測定され、抗体力価は経時的にわずかな低下は見られたが、5カ月間安定していることが報告された。ただし、低力価のケースでは、経過中に有意な上昇はなかった。
つまり、先月、すでに中和抗体が長期継続することが報告されていた。
論文2)中和抗体投与による治験
2020年10月28日
DOI:10.1056 / NEJMoa2029849
NEJM:
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2029849
新型コロナで中和抗体はACE2と結合するスパイクを標的とする。EliLilly社の治療目的の中和抗体は、感染から回復した患者から得られた抗体に由来している。軽度または中等度のCovid-19と診断された452人の患者を対象として、中和抗体LY-CoV555を3つの用量(700
mg、2800 mg、または7000 mg)のいずれかで単回静脈内注入をランダムに割り当てた。
結果として、LY-CoV555を投与された患者では、11日目のウイルス量(主要転帰)は、2800mgの投与を受けた患者のみでプラセボ群よりも低かった。しかし、11日目のウイルス量の減少は、臨床的に意味のあるエンドポイントではなかった。プラセボ群を含む大多数の患者のウイルス量がベースラインから大幅に減少したため、自然と一致する所見であった。
つまり、中和抗体は、多くても、少なくても有効でない?という結果であった。
以上から、ワクチンの問題を考えると、
ワクチンによって誘導される中和抗体は実際の新型コロナに有効なレベルの中和抗体をどれほど誘導し、どれほど継続するか?
基本的に中和抗体活性が高かれば、高いほどいいのか?
では、昨日から今日にかけて報道されている横浜市大のデータを見てみよう。
出典:https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/849312/
この図からは、重症者で抗体活性が高いので、
感染後、ウイルスと闘ったほど、抗体が多く残っていて、よさげに思える。
しかし、このグラフの盲点は、
無症状・軽症者が桁違いに多いことである。
こういうデータは、%ではなく、実数で眺めると本質が見えてくる。
お分かりであろうか?
感染しても、無症状・軽症者が多いのは日本の実態と矛盾はない。
そして、
中和抗体の活性が中等度であるケースが最も多い。
そして、
中等度の中和抗体が最も無症状・軽症が多いのである。
逆に、中和抗体の活性が高いほど、重症化が多い。

