宇野
米国では今年の2月にはインフルエンザが2600万人感染し、
死者は1.4万人といわれ、
新型コロナどころではないという話であったが、
3月に入り、新型コロナが急増し、
あっという間に、新型コロナの世界最大の感染大国となり、
感染者数140万人、死亡者数は8.4万人となった。
これだけの話でれば、インフルエンザよりも新型コロナは致死率が高い。
そして、もし、インフルエンザに感染した人が、
新型コロナに感染しにくいとすれば、
「インフルエンザに感染したい」と思うかもしれない。
実際に、そのような記事が米国のサイトでみかけたことがある。
しかし、そうではない。
インフルエンザと新型コロナが同時に感染したという報告が多数ある。
1.69裁、男性、中国:咳と発熱あり、CTで肺炎あり入院隔離。
新型コロナのPCRでは陰性であったが、A型インフルエンザ陽性であったため、
隔離解除で退院。しかし、呼吸困難悪化し、再度、受診。
肺炎の悪化と急性呼吸窮迫症候群を認め、入院し、気管挿管が行われた。
合計4回の新型コロナウイルスのPCRはすべて陰性であったが、その後、
詳細な遺伝子解析によって、新型コロナ感染であることが診断された。
Xiaojing Wu X, et al. Co-infection With SARS-CoV-2 and Influenza A Virus in Patient With Pneumonia, China. Emerg Infect Dis. 2020 Mar 11;26(6). doi: 10.3201/eid2606.200299
https://wwwnc.cdc.gov/eid/article/26/6/20-0299_article
2.78歳、女性、日本:倦怠感、食欲不振。胸部X線とCTで肺炎が確認され入院。
入院時の検査でインフルエンザAと新型コロナのPCRともに陽性であった。
Azekawa S, et al.Co-infection with SARS-CoV-2 and influenza A virus.IDCases. 2020 Apr 21;20:e00775. doi: 10.1016/j.idcr.2020.e00775. eCollection 2020.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7184249/
3.米国、NYでの新型コロナPCR陽性者1204人中13人が新型コロナ以外のウイルス抗原陽性。
最も一般的な呼吸器ウイルスの同時感染は、ライノウイルス/エンテロウイルス、
インフルエンザウイルス、コロナウイルスNL63。
Nowak MD, et al. Co-infection in SARS-CoV-2 infected Patients: Where Are Influenza Virus and Rhinovirus/Enterovirus? J Med Virol. 2020 Apr 30. doi: 10.1002/jmv.25953.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/jmv.25953
4.イランから4人の同時感染報告
Khodamoradi Z, Moghadami M, Lotfi M. Co-infection of Coronavirus Disease 2019 and Influenza A: A Report from Iran. Arch Iran Med. 2020 Apr 1;23(4):239-243. doi: 10.34172/aim.2020.04.
5.ドイツから小児での同時感染例。4カ月の乳児。A型インフルエンザ。
Wehl G, Laible M, Rauchenzauner M. Co-infection of SARS CoV-2 and influenza A in a Pediatric Patient in Germany. Klin Padiatr. 2020 May 11. doi: 10.1055/a-1163-7385.
6.スペインの同時感染4例:53歳 (A型)、78歳 (A型)、56歳の男性 (A型とB型)。
81歳、女性(B型)。
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)31052-7/fulltext
以上から、
インフルエンザの検査だけ行って、陽性だから、
コロナではないと決めつけてはいけないということである。
新型コロナの検査を行わす、インフル陽性で、亡くなった場合、
インフルエンザでの死亡にカウントされるとすれば、
やはり、米国の2月のインフル死亡数の中に、新型コロナ死亡が含まれている可能性がある。
米国では、11月からインフルが流行したが、
たしか、日本でも去年の発症時期は早かった。
さらに、去年12月に採取されたフランス国内の検体に新型コロナウイルスが発見された。
つまり、
そもそも、いつ、どこで、この感染症が起ったのか、
そして、どのように広がったのかについて、
謎であることが、
米国と中国で、責任を押し付けあっている理由である。
さて、
下の図は、何の実験であろうか?

TMPRESS2が多いと、ウイルスが増殖してマウスが死亡するのだから、
コロナウイルスの実感だと思ったが、
そうではなく、
インフルエンザの実験である。
http://jsv.umin.jp/journal/v69-1pdf/virus69-1_061-072.pdf
つまり、インフルエンザが重篤化するには新型コロナと同様に、
TMPRESS2を抑制すれば、インフルエンザにも有効であるというエビデンスである。
また、
今後、新型コロナの検査が多数行われると思うが、
発熱や咳、倦怠感のある人は、
かならず、インフルエンザの検査も一緒に行うことは必須である。