宇野
日本での胃癌予防目的のピロリ菌除菌は、わずか3年の研究結果をもとに、国会で議論され、保険適用となった。そして、1000万人以上の人々がピロリ菌除菌を受けた。彼らは、ピロリ菌除菌によって胃癌の発症の危険が減少するであろうと信じていた。
しかし、その後、除菌後3,4年までは、胃癌があっても内視鏡検査で発見しにくい潜伏癌になること、除菌後5年以上たつと、潜伏癌が発見しやすくなり、除菌していない人と同じ発生率で胃がんを生じることが分かってきた。そして除菌後10年以上でも胃癌の発症リスクが減らないこともわかってきた。さらに、除菌後の長期観察では、除菌後の年月が経るほど、より悪性度の高いびまん型胃癌が発生し、とくに、これまで胃癌が発症しにくいと考えられてきた軽度の萎縮性胃炎に発症しやすいことが分かってきた。
昨年、岡山から除菌後10年と10年以降の胃癌発症を比較した研究について記したが、今回、正式にジャーナルに掲載されたので、その図を示す。
Risk of gastric cancer in the second decade
of follow-up after Helicobacter pylori eradication
Susumu Take, Motowo Mizuno, Kuniharu
Ishiki, Chiaki Kusumoto, Takayuki Imada, Fumihiro Hamada, Tomowo Yoshida, Kenji
Yokota, Toshiharu Mitsuhashi & Hiroyuki Okada
Journal of Gastroenterology volume 55,
pages281–288(2020)
「あなたの胃炎は軽度なので、ピロリ菌を除菌すれば、
数年後には、胃がんのリスクはほとんどなくなりますよ」
というのは、嘘だということです。
ピロリ菌を除菌した1000万人の人々は、
毎年、年一回、20年経ても内視鏡検査をしてください。