私は、IBSの症状改善のために、低FODMAP食を推進していますが、以前から、おかしなことを体験しています。
具体的には、経験的にこれくらいのFODMAPでは問題なかろうというものであっても、唐辛子を沢山入れて食べると、少量のガスであっても腹痛を来すことです。
たとえば、普段、症状を来さない5割蕎麦であっても、一味唐辛子を沢山入れると、腹痛を来します。そのような場合は、排便する時に肛門がヒリヒリします。つまり、肛門まで影響するという事は、唐辛子のカプサイシンが大腸全体に影響している証拠です。
そのカプサイシンがIBSの症状を誘発することは数年前から、指摘されてきました。カプサイシンは、大腸の腸管神経節や神経節間
神経の全般(筋層,粘膜下層,粘膜層)にあるTRPV-1(トリップ・ブイワン)チャンネルによって、痛みを感じることがわかっています。
このチャンネルは食道にもあって、カプサイシンは逆流性食道炎の症状発現にも関与しています。カプサイシン受容体TRPV-1は、黒胡椒の 辛み成分であるピペリンにも作用します。ところが、このTRPV-1チャンネルは43度で活性化され、痛みとか熱いとかを感じるのですが、大腸内で発酵しても発酵熱は38度程度です。しかし、発酵によってpHが低下すると活性化されます。高FODMAPで大腸内の短鎖脂肪酸が増加して、pHが下がると、腹痛の閾値が変動し、痛みを感じやすくなるという事になります。さらに、炎症があると炎症メディエータ―によってリン酸化され、30度でも痛みを感じるようになります。また、TRPV-1 が種々の 脂質によっても活性化することが明らかとなっています。また、過激な運動によって腸管の組織がアシドーシスを来し酸化されると活性化され、腹痛を来しやすくなります。
結論として、唐辛子やコショウは、IBSの症状を悪化させる可能性が高いという事です。
現在、販売している「過敏性腸症候群の低フォドマップ食」
145頁では、唐辛子は〇になっていますが、
△へ変更します。
モナッシュのサイトでは、それらは高FODMAPではないので、食べ物に風味をつけるために使用しましょうとなっています。
https://www.monashfodmap.com/blog/using-herbs-spices-low-fodmap-diet/
しかし、せっかく、低FODMAPで安定していても、急に悪化する可能性があるので、何かの機会があれば、意見書を提出しようと思っています。
<参考>
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/128/2/128_2_78/_pdf
http://www.nibb.ac.jp/press/2011/07/15.html
https://www.nips.ac.jp/release/2015/04/_trpv1.html
http://tenaca-nips-2016.kenkyuukai.jp/images/sys%5Cinformation%5C20161004145432-C9A0307CDC5BFFBE368042C37301506118242A368CDD5986EDA4A983ED7B8D92.pdf
ヒトの腸における肥満細胞と神経の相互作用の模式図。 MCと神経は双方向に通信し、それによって蠕動運動および疼痛シグナル伝達を調節する。
肥満細胞による生理活性、炎症誘発性メディエータの放出は、細胞膜への侵害受容器の活性化、感作および動員、神経性炎症および神経発芽を含む様々な神経作用をもたらし、最終的に内臓過敏症を引き起こす。
他方、神経細胞の活性化は神経ペプチドおよび神経伝達物質の放出を引き起こし、それによって肥満細胞をさらに活性化する。
Wouters MM, Vicario M, Santos J. The role
of mast cells in functional GI disorders.Gut. 2016 Jan;65(1):155-68.
いくつかの肥満細胞メディエーターは、感覚求心性ニューロンによって同時発現される受容体の活性化を介して侵害受容体を感作し、それによってこれらの侵害受容体の活性化の閾値を下げることができる。これらの求心性神経の活性化は神経ペプチドの放出を刺激し、そのうちのいくつかは肥満細胞受容体プロファイルを変化させ、肥満細胞機能を調節し、または肥満細胞メディエーター放出を刺激し、これにより進行中の肥満細胞活性化および侵害受容器感作のための正のフィードバックループを作り出す。このメカニズムは、肥満細胞と感受性の変化が関与する病状に関連があると考えられています。
van Diest SA, Stanisor OI, Boeckxstaens GE,
de Jonge WJ, van den Wijngaard RM. Relevance of mast cell-nerve interactions in
intestinal nociception. Biochim Biophys Acta. 2012 Jan;1822(1):74-84.

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