日本低フォドマップ食推進会:宇野
高FODMAPは、小腸での浸透圧性の水分増加が下痢につながり、大腸での過発酵によるガス増加によって便秘を来す。
発酵過程でガスと同時に短鎖脂肪酸SCFAを産生する。
このSCFAが動物実験をもとに、人間でも健康に有益に作用するという仮説がプレバイオティクス仮説である。そのため、低FODMAP食で制限されるオリゴ糖は代表的なプレバイオティクスである。
プレバイオティクスの人間の研究では、主に健常者を対象として、排便回数が増加したという結果で、便秘に有効であると報告されている。しかし、プレバイオティクスの研究では、これまで、腸内ガス量を測定した研究はない。一方で、FODMAPの研究では、オリゴ糖を含めた成分のガス増加は呼気水素のみならず、MRIやCT、レントゲン写真を用いて、実際に腸内ガスの増加が詳細に検討されている。
つまり、医師が研究しているFODMAPと、医師以外が研究しているプレバイオティクスとは、次元の違いほどに、研究レベルに差がある。
さて、欧米の低フォドマップ食では、食物繊維の不足の懸念から、特に水溶性食物繊維の摂取が推奨されている。しかし、水溶性食物繊維の代表格であるペクチンPectinはSCFAを増加させるためプレバイオティクスである。
Tingirikari JMR.
Microbiota-accessible pectic poly- and oligosaccharides in gut health. Food
Funct. 2018 Oct 17;9(10):5059-5073.
「 私たちの食事中の炭水化物の主な供給源は、腸内に存在する細菌によって消費される植物由来の多糖類です。これらのうち、ペクチン - 由来の多糖類およびオリゴ糖類は、ヒトの胃液に耐性があり、大腸でゆっくり発酵させてプレバイオティック効果を付与するため、最良の代替品として機能します。」
つまり、オリゴ糖とペクチンは同じ作用をするということである。
以上から、欧米のFODMAP理論のオリゴ糖がNGで、ペクチンがOKというのは、明らかに論理的に破綻している。
“ペクチン”を日本のウィキペディアで調べると。以下のように書いている。
「ヒトの消化管内では微生物が分解するが、ヒトの消化酵素では分解されないことから食物繊維として機能し、整腸作用やコレステロール低下作用などを有すると言われている」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%B3
この文章、つまり、プレバイオティクスを推奨している文章は、論理的に矛盾していることがおわかりであろうか。(付け加えれば、一見、コレステロールが低下して、有用に思えるが、SCFAは、そのまま便から排泄されるのではなく、ほとんど大腸から吸収され、SCFAの持つカロリーは静脈を経由せず、門脈から直接肝臓に運ばれるため、サイレント脂肪肝を引き起こす。具体的には、血液検査でコレステロール、中性脂肪が正常であっても超音波検査では酷い脂肪肝になる。それは、原因不明の非アルコール性脂肪肝の要因になりうる)
高FODMAPも消化酵素の欠如・減少によって小腸で分解・吸収されないが、それが大腸へ至って細菌叢によって発酵するのである。
では、水溶性食物繊維であるペクチンは大腸で発酵するのか?
それは、どの程度なのか?
機能性食品・プレバイオティクスの仮説では、そこまで考えられていない、あるいは無視されている。
しかし、
ペクチンは人間の大腸でも発酵し、SCFAを増加させることがわかっている。
大豆ペクチンの場合、その量はフルクトオリゴ糖よりも2倍以上である。
Food and Nutrition Sciences, 2015, 6,
1103-1114
https://file.scirp.org/pdf/FNS_2015090910485072.pdf
さらに、ペクチンは、オリゴ糖と同様に、SCFAの量とガス排泄量が相関することがわかっている。
Barry KA, Wojcicki BJ, Bauer LL, Middelbos
IS, Vester Boler BM, Swanson KS, Fahey GC Jr. Adaptation of healthy adult cats
to select dietary fibers in vivo affects gas and short-chain fatty acid
production from fiber fermentation in vitro. J Anim Sci. 2011
Oct;89(10):3163-9.
https://academic.oup.com/jas/article/89/10/3163/4771964

つまり、ペクチンもその副作用はFODMAPと同じである。
であれば、相乗作用も危惧される。
特に、腸内通過時間が遅い慢性便秘や過敏性腸症候群の便秘型では、
FODMAPを制限してもペクチンを大量に摂取していれば、
その発酵作用によって症状が改善しない可能性がある。
以上から、私の提唱する日本の低フォドマップ食では、食物繊維も低フォドマップ食の排除期では制限している。そして、食物繊維もチャレンジ期で量をコントロールすべきであろう。
このように発酵性食物繊維もターゲットにした私の方法は、欧米の方法よりも、症状緩和には、はるかに優れていると思うのである。
私が、モナッシュのアプリを信じなくなったのは、この理由が大きい。
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