Uno Y
ピロリ菌除菌を推進した医師の論文では、ピロリ菌の除菌療法の拡大により、
5年間で15万人の胃癌死亡を予防すると記された。
(日本消化器病学会雑誌、107巻、359-364.)
その効果によって、医療費が減少するので、
除菌費用がかかっても、結果として黒字(5年後に600億円黒字)になるので、
国は負担すべきと主張した。
そして、国会でも議論され、
2013年からピロリ菌陽性の慢性胃炎に対しての除菌療法が保険診療の適応になった。
除菌対象者数は4266万人であったため、検査と薬剤の1.1万円+検診費用を国が負担し、
合計5400億円の支出予定であった。
現在までに、推計、目標の3分の1以上に除菌が行われた。(推計、1800億円以上の国費支出)
予定では、単純に計算すると、1年間3万人の胃癌死亡数を減少させるはずであった。
除菌治療開始前までの1年間の胃癌死亡数は毎年約5万人であった。
しかし、最も少なかった2016年でも4万5千人であった。
つまり、目標を達成することは不可能になったが、2017年に3万人台に減少すれば、
それなりの効果があったと主張出来たかもしれない。
「5年で15万人の胃癌死亡を予防を達成できなかったのは、
まだ、目標の3分の1だからである。
そして、5年目である2017年に1万人減少したのは予定通りである」
と言えたかもしれない。
しかし、2018年12月7日
2017年の胃癌死亡数が公開された。
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
前年に比して300ほどしか減少しなかった。
(女性の胃癌死亡が少ないのは、高齢になって胃がんになる前に、
乳がんで死亡する人が増加しているためかもしれない)
公開時、私は、2016年のデータだと思った。
目標と、2ケタ違う。誤差範囲で変化なしかもしれない。
国費でピロリ菌を除菌しているのは、世界中で日本だけである。
世界の医学史上、前例のない大実験場の日本の結果を全世界が注目している。
今後も、継続し、国費をさらに3000億円以上支出するのであろうか?
私は、それはそれで、意義はあるかもしれないと最近思っている。
戦艦大和、特攻隊に匹敵する、忘れてはならない日本の歴史となるからである。
ただ、国民の同意と、被害者をださないための対応は必須である。
<補足>
下の図を見ると、胃癌死亡は徐々に低下しているように見えるが、
その減少が2017年に止まった。
そして、5年で15万人の死亡を予防できるという仮説では、赤線でなければならなかった。
それが、10年で15万人の死亡を予防する場合は緑線、
15年で15万人の死亡を予防する場合は紫線となる。
すなわち、「予防して黒字になる」という仮説のスケールレベルでは、
全く、減少していない。

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