Uno Y

 

IBSは、腹痛、下痢や肥満、腹部膨満、排ガスの増加という腸の症状ばかりではなく、頭痛、筋肉痛、疲労感を伴い、さらに、繊維筋痛症、顎関節症、偏頭痛、子宮内膜症など痛みを伴う疾患と関連している。

このことは、IBSが全身的な疼痛に弱いことを意味している。

それに関して、重要な研究が2010年に米国オハイオ州立大学から報告されている。

IBS患者に対して、虚血刺激を与えてその痛みの出現を調べた。この試験は腕に巻く血圧測定のような方法で、手や足を締め付けて痛みの感受性を調べたところ、IBSでは明らかに低い刺激で痛みを感じた。

 

Zhou Q, Fillingim RB, Riley JL 3rd, Verne GN. Ischemic hypersensitivity in irritable bowel syndrome patients. Pain Med. 2010 Nov;11(11):1619-27.

 

また、同様の試験で、これまで、顎関節症や繊維筋痛症でも同様の結果が得られている。


 では、なぜ、IBSでは腸だけでなく、全身の痛みに弱いのであろうか?

それについては肥満細胞の関与が考えられる。肥満細胞から放出されるヒスタミンなどの痛み物質の放出が影響しているとすれば、論理的に説明できる。実際に顎関節症や繊維筋痛症、子宮内膜症も肥満細胞とリンクしている。

 そして、低フォドマップ食では肥満細胞の活性低下が示されているため、低フォドマップ食が全身の痛みを改善する可能性がある。そして、すでに、子宮内膜症や繊維筋痛症では低フォドマップ食で症状が軽快することが確認されている。

Moore JS, Gibson PR, Perry RE, Burgell RE. Endometriosis in patients with irritable bowel syndrome: Specific symptomatic and demographic profile, and response to the low FODMAP diet. Aust N Z J Obstet Gynaecol. 2017 Apr;57(2):201-205.

Marum AP, Moreira C, Saraiva F, Tomas-Carus P, Sousa-Guerreiro C. A low fermentable oligo-di-mono saccharides and polyols (FODMAP) diet reduced pain and improved daily life in fibromyalgia patients. Scand J Pain. 2016 Oct;13:166-172.

Marum AP, Moreira C, Tomas-Carus P, Saraiva F, Guerreiro CS. A low fermentable oligo-di-mono-saccharides and polyols (FODMAP) diet is a balanced therapy for fibromyalgia with nutritional and symptomatic benefits. Nutr Hosp. 2017 Jun 5;34(3):667-674.

 

 

これらの事実は、裏返せば、

日本での上述疾患が、日本での高FODMAPが影響している可能性がある。