Uno Y

 

本年、和歌山(日高総合病院、和歌山医科大学、なかたクリニック)から、いわゆる“鳥肌胃炎”Nodular gastritisにおけるピロリ菌除菌の有用性が報告された。

 

JGH Open. 2018 Mar 25;2(3):80-86.

Nodular gastritis in association with gastric cancer development before and after Helicobacter pylori eradication.

 

その報告によれば、鳥肌胃炎の場合には、ピロリ菌除菌をした群では、フォローアップ中に胃癌が発症していないとのことであった。それについては、除菌否派の私も賛同する。しかし、観察期間が短く、対象者の年齢層が若いので、その後、本当に有効かどうかは、10年以上の経過観察は必要であろう。

 

その考察では、非常に重要なことが記された。

同研究グループが以前に報告した除菌後の胃癌発生率は1-2%であったが、今回の研究では除菌後の胃癌の発生率は3%であり、除菌後の胃癌の発生率が1.5-3倍に増加しているということである。著者らは、除菌群の患者の年齢が10歳以上高齢であることを理由として考察している。

 
であれば、鳥肌胃炎以外では除菌による胃がん予防効果はないのではないか?と考察し、計算してみた。

論文では、鳥肌胃炎ではないピロリ菌陽性者のデータ(フォローアップされた例)は以下であった。

ピロリ菌陽性で除菌していないケース:560

ピロリ菌陽性で除菌せず、胃癌を発症したケース:19人(4%)

ピロリ菌陽性で除菌せず、胃癌を発症していないケース:541人

ピロリ菌陽性で除菌したケース:220

ピロリ菌陽性で除菌後に胃癌を発症したケース:7人(4%)

ピロリ菌陽性で除菌後に胃癌を発症していないケース:213

以上から、除菌してもしなくても胃癌発症率は4%である。

念のため、2x2表で計算した。

111図1

信頼度95%でも有意差なし。


鳥肌胃炎以外のピロリ菌除菌の胃がん予防効果はないと判断される。


では、鳥肌胃炎を含めた全体ではどうなるか?

ピロリ菌陽性で除菌していないケース:674

ピロリ菌陽性で除菌せず、胃癌を発症したケース:25人(4%)

ピロリ菌陽性で除菌せず、胃癌を発症していないケース:649

ピロリ菌陽性で除菌したケース:302

ピロリ菌陽性で除菌後に胃癌を発症したケース:7人(3%)

ピロリ菌陽性で除菌後に胃癌を発症していないケース:295

除菌すると、1%低下するように見えるが、2x2表では以下である。

222図1

信頼度95%でも有意差なし。

以上から、まとめる。

ピロリ菌の除菌後の胃がんの発生が増加しており、除菌しない場合と差がない状況となった。
そのなかで、ピロリ菌陽性の鳥肌胃炎は胃がん予防効果が期待できる可能性がある。
しかし、未だ短期間の結果しかなく、長期的なフォローアップを必要とする。

では、どうすべきか?

ピロリ菌陽性者全例に対する除菌治療の保険適応を停止するか、
もしくは、保険適応を鳥肌胃炎などに縮小することを提案する。
それに代えて、これまで除菌治療を受けた人の年1回の内視鏡検査を、
義務化(国の責任で監視)し、全額国費負担とすべきである。

それ以外の策はあるか?


<追記>


ここまで、言えた人なし。
加藤勝信議員の次期総理大臣への就任を望む!