緊急:国際ガイドライン:SpO297100%にしてはいけない

 

Yoshiharu Uno, MD, PhD

 

パルスオキシメーターは日本で開発され、アメリカで改良されて広く市販化された医療機器で、今や、世界中の医療機関で使用されている。指に接触させるだけで経皮的動脈酸素飽和度SpO2を測定できる。簡単に言うと、体の酸素が十分かを知る機械である。

私は、その機器およびSpO2の測定値を「サーチュレーション」、あるいは「サーチ」と呼んでいる。

姫路のある病院では、米国式に「サット」と呼んでいたが、私の記憶では米国では「サッツ」と言っていた。

先日、姫路の百貨店でエレベータに同乗した看護師と思われる女性たちの一人が、自分の手術のために「マニキュアを落とさなきゃ」と真っ赤な爪をさすっていたが、その際に、「赤いマニュキュアって、サーチ、めっちゃ高くでる」と言っていたので、姫路でも病院によっては、「サーチ」と言っているのだろうと思った。

 

さて、本題に入る。

本年、4月に、Lancet誌において、カナダとニュージーランドから驚くべき報告があった。彼らは、25の研究(16000人以上)の患者の分析を行った結果、過剰な酸素投与によって死亡率が上昇し、SpO29496%を超える酸素投与をすべきではないと結論した。

 

それを受けて、SpO2を指標とした適切な酸素療法について、本年、英国の医師らが中心となりカナダ、スイス、スペイン、南アフリカ、米国、ノルウエーの医師が参加した国際研究が行われ、ガイドラインを作成した。そして、その結果は、BMJ誌で今年1024日に、緊急勧告Rapid Recommendationsとして公開された。

Siemieniuk RAC, Chu DK, Kim LH, et al.

Oxygen therapy for acutely ill medical patients: a clinical practice guideline.

BMJ. 2018 Oct 24;363:k4169. doi: 10.1136/bmj.k4169.

https://www.bmj.com/content/363/bmj.k4169

 

さらに、その記事は、NEJMのネット記事を通じて世界中に配信された。

 

その目的は以下である。

 

血中酸素飽和濃度にかかわらず、患者に対して酸素補給を行うことは、長年の文化的規範であった。しかし、最近の科学的研究では、酸素補給量が多すぎると患者の死亡率が上昇することが示されたために、国際研究が行われた。

 

そして、検討結果は以下であった。

 

  • 酸素療法を受けている患者のSpO296%以下が強く推奨される。

 

  • 9094%のSpO2で管理することは大部分の患者にとって合理的である。

 

  • 心筋梗塞や脳卒中患者でSpO290%以上では酸素療法を行わない。

 

  • SpO28892%が推奨される状態は、高度炭酸ガス呼吸不全の危険性がある状態で、慢性閉塞性肺疾患、肥満性低換気、神経筋呼吸疾患,閉塞性睡眠時無呼吸、中枢性呼吸減少(鎮静剤の過剰投与、脳卒中、脳炎など)

 

  • SpO2100%に近づけてよい状態は、一酸化炭素中毒、クラスター頭痛、鎌状赤血球症、気胸


11図1

22図1

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<コメント>

ナース「SpO296%ですが、酸素しますか?」

医師「経鼻で酸素流しておいて、98%以上、目標に。。」

という会話で、患者が早く死ぬ可能性があるということである。

『良かれと思ってしたことが、悪化させる』

今回の記事は、日本の全医師、全看護師が知るべきことである。