Uno Y

 

1900年代の初め頃、日本の医学界はドイツから医師を盛んに招聘し、講義を受講した。当時、ドイツではドイツのレントゲンが発見したX線を用いた研究が盛んで、世界の医学をリードしていた。ドイツの消化器病学の医師は、日本で便秘について講演し、便秘には2種類あることを強調した.ひとつは痙攣性便秘で、腸が痙攣する理由は、「ヒステリー」であると話した。もうひとつは、弛緩性便秘で、腸そのものに力がないAtony (アトニ―)であると話した。それは、現在でも、看護師やパラメディカルのアトラスなドでも、そのように分類されているが、それは100年前のドイツ医学の話である。さらに、「腸の痙攣=ヒステリー」という概念も過敏性腸症候群で引き継がれている。X線による大腸機能の研究は、1910年代からアメリカで盛んに行われ初め、弛緩性便秘については、横行結腸が下垂する内臓下垂症という概念に変わっていった。そして、横行結腸が下垂している場合、横行結腸の上に位置する胃も一緒に下垂していることがほとんどであることが1920年代に確認された。つまり、大腸も胃もダラーンとしているのである。最近の日本でも、この横行結腸下垂に気が付き、歴史を知らないためか、あるいは知っていてのことか、自分が発見したかのように報告しているケースもある。その場合、胃と腸の筋肉である平滑筋がダラーンとしているので、食物繊維を食べてもお腹にたまるだけであり、運動しても、たとえ、腹筋をガチガチに鍛えても腹筋は横紋筋なので、胃や腸が引き締まることはない。(筋肉の種類が違う)

しかし、最近、私は、100年以上も前の医学の話だからと否定していいのだろうか?と思うようになった。というのは、1週間で40-50人の胃内視鏡を行っていると、胃がやたらと大きく長い女性が少なくとも1割は存在することを経験しているのである。それは、まさしく、昔の医学の胃拡張である。ということは、横行結腸も下垂して便秘かもしれないと思い、胃カメラ後に「便秘ですか?」と聞くと、半分以上がひどい便秘だと言うのである。古い文献を調べると、胃下垂+横行結腸下垂は、臍の下のぽっこりお腹が特徴であり、栄養の悪い農婦にみられている。そして、古い医学書をみると、胃と腸のアトニ―はビタミンB不足が原因と記されている。ビタミンBは、豚肉に多く含まれるが、試しに、胃の大きな人に「豚肉食べますか?」と聞くと、「ほとんど食べない」ということであった。

 私の研究では、大腸の通過時間は、大腸へ流入する流量に影響される。つまり、胃から小腸へ速やかに流れる人は、それが大腸への流入量増加に直結するので、便秘になりにくい。逆に、胃からなかなか小腸へ流れない人は、大腸への流入量が少なく、便秘になりやすい。食べた後、下腹部が膨らむ人は、それは胃から流れないで胃が膨らんでいる状況である。つまり、そのような場合、いわゆる胃拡張を改善しなければ便秘は改善しないと思われる。

 ということで、最近、私は、胃が大きな便秘の女性にビタミンB1のサプリメントを勧めている。

B1図1

そもそも、胃の運動性が乏しい場合には、ビタミンBが吸収されにくいので、即効性は期待できないが、半年くらいでだんだんと改善してくるかもしれない。
なんとも、適当な話であるが。。。