日本低FODMAP食推進会:宇野

 

昨年(2017年)、12月に英国のキングズカレッジロンドン、英国ロイヤル・ロンドン病院、クイーンメアリー大学などの研究者が、寛解期の潰瘍性大腸炎17人に対して、高FODMAPによって症状が悪化する可能性を調べたところ、フルクタン1日量12gで、腹痛、下痢、鼓腸を生じることがわかった。

Cox SR, Prince AC, Myers CE, et al. Fermentable Carbohydrates [FODMAPs] Exacerbate Functional Gastrointestinal Symptoms in Patients With Inflammatory Bowel Disease: A Randomised, Double-blind, Placebo-controlled, Cross-over, Re-challenge Trial. J Crohns Colitis. 2017;11:1420-1429

 

フルクタンは、FODMAPの「O」のオリゴ糖に含まれる。

フルクタンの多い食品は、以下である。

100g中の量を示す。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%B3

 

キクイモ:16-20g

アスパラガス:1.4-4.1g

大麦穀粒:22g

チーズ・スプレッド:4.5g

チョコレート:9.4g

玉ネギ:1.1-10g

ライ麦:4.6-7g

小麦粉:1-4g

 

大麦穀粒は、大麦βグルカンの作用で血糖上昇の抑制や血中コレステロール低下が期待されると言われるが、驚くほどにフルクタンが多いことに注意したい。

たとえば、潰瘍性大腸炎でステロイドを使用している場合には、その副作用で高血糖や肥満になりやすい。そのため、それを抑制しようとして、大麦穀粒を食べると、潰瘍性大腸炎が悪化するかもしれない。そして、さらにステロイドが投与され、さらにその副作用で高血糖、肥満が悪化し、それを抑えようとして大麦穀粒をさらに食べるという悪循環を来しかねない。(きっと、そういう人は実際にいる)

 

「大塚製薬の大麦ごはん」という記事に、興味深いデータがあった。

https://www.otsuka.co.jp/oms/wquality/certificate.html

大麦β-グルカンの「おなかの調子を整える」効果については、健康な男女12名を、大麦穀粒もしくは白小麦のパンなどを食べるグループに分け、呼気中水素濃度を調べる試験を行っています。 大麦β-グルカンを含む食品の摂取により、呼気中水素濃度の上昇が認められました。 つまり、大麦β-グルカンを含む食品を食べると、腸内の善玉菌の働きが活発になり、おなかの調子を整えることにつながる、というわけです。」

そして、大麦穀粒の呼気水素量が、小麦、ライ麦よりも遥かに多いグラフがあった。

呼気水素濃度に関して、「腸内環境改善の代表的な指標のひとつ」とい記されていた。

つまり、呼気水素量が多い大麦穀粒が腸に良いという説明である。

しかし、
残念ながら、「食べて呼気水素が少ない方が腸に負担をかけない食品である」
というのが現代医学の常識である。
家庭の医学レベルの定説は、最新医学では「歴史的な古い仮説」という、ひとつの例である。

この問題に関して、なんども書いてきたが、

健常者、つまり、過敏性腸症候群、慢性便秘、慢性下痢、クローン病や潰瘍性大腸炎、大腸憩室、放射線性腸炎、子宮内膜症、腸管癒着症、鼓腸症、セリアック病などがない場合では、大腸で発酵して呼気水素が増加する食品であっても、多少、お腹が張る程度で問題がないかもしれないが、

そうではない場合には、腸内の発酵によってガスが増加し症状を悪化させる。

そのため、そのような疾患がある場合には、食べた後に呼気水素が増加するような食品を避けねばならない。これは消化管機能の研究分野では常識である。

そういう意味から、「腸内環境改善」とか、「おなかの調子を整える」とか、「善玉菌の働きを活発にする」とかいう話は、もしその話に正当性があるとしても、腸が原因の病気や症状がない人に限定されるのである。

つまり、「おなかの調子が悪い人」に対しては、「おなかの調子を整える」という食品は、かえってお腹の調子を悪くする可能性が高いということである。

 

上述した以外で、フルクタン量が多い食品にはニンニクがある。

ニンニクの糖質量は26%で大部分がフルクタンである。

http://www.sg-nsk.co.jp/index.php?%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%83%8B%E3%82%AF%E3%81%AE%E7%A7%91%E5%AD%A6

 

であれば、100g中25gとして、ニンニク48gで潰瘍性大腸炎が悪化することになる。過敏性腸症候群などについても同じことが言える。

 

 

「よかれと思って、かえって悪くする」


というのが、日本人の特徴ではないかと、

最近、思うのである。