ある日の胃カメラバイトで、

数か月前に胃カメラで慢性胃炎しかなかった高齢者が 、腹痛のために胃カメラが予定されて、

私が行うことになった。

「お腹の、どこが痛いんですか?」

胃カメラの前に、ベッドに横になっている患者に聞いた。

患者は、上腹部全体をさすったので、打診してみるとガスが充満している音であった。

胃カメラ前なので、胃にガスが多いわけがない。

「これは、大腸のガスですよ。きっと、今日の胃カメラでは異常ないですよ。

でも、予定なので胃カメラをしますが、なぜ、大腸のガスが多いのか?考える必要があります。

何か?腹痛が起こる前に、特別に、何か、食べませんでしたか?」

「きな粉を食べた後からかな?」

「どうして、きな粉を食べるようになったんですか?」

「便秘がちで、TV見て、便秘にきな粉がいいというので、毎食、食べています。

便は柔らかくなったんですが、お腹が痛くて。。。」


『おー、やはり、高FODMAPの症状!』

と思った。

「きな粉は、やめた方がいいですよ。それだけで、腹痛はなくなります。じゃあ、胃カメラで、

何もないことを確かめましょう。」


きな粉は、大豆なので、長年便秘で大腸機能が低下し、拡張している場合、大腸通過時間が長いため、

大腸で過発酵して、ガスが充満する。大腸機能が低下していなければ、

きな粉は下行結腸で発酵するが、機能が低下し、大腸が拡張している場合には、

横行結腸でガスが増加し、場所的に、患者は胃が痛いと表現する。

きな粉で便通が改善するのは、大腸機能が正常で、大腸が拡張していない場合であるが、

長期に慢性便秘を来している高齢者では、高FODMAP作用の水分増加によって、

若干便が軟らかくなるが、大腸内で過発酵が起こるため、大量のガスが生じ、腹痛を来す。

今回の例は、明らかにTVの便秘番組の悪影響である。

1人いるということは、そのTVをみた多くの高齢者が、同じように腹痛を来し、

体調を崩し、不要な検査を受けている可能性がある。

ご注意を!