Uno Y

 

先月の暑い日、後頚部と頭部が異常に痒くなった。

首には「あせも」「蕁麻疹」のような膨隆疹を生じ、

頭皮は搔くとカサブタになる。

その頃から、毎日、夜89時に眠り、翌日の23時に起床する生活を開始していたのであるが、夜明け前の4時ころに必ず、くしゃみが止まらなくなった。くしゃみは1時間ほどで消失するが、その後に若干の腹痛を伴う下痢をしていた。

頭皮の感染を疑いアルコール消毒を繰り返し、皮膚の膨隆疹には市販のステロイド入りの軟膏を塗っていたが、皮膚の痒みは、日増しに強くなった。

どうしようもなくなり、市内で、よく治ると評判の皮膚科に行った。

皮膚科の医師は40歳代後半で、皮膚の傷のある部位を採取して、すぐにその場で、顕微鏡で見て、「感染症ではないようです。」とのこと。。。(その診断方法に、納得した。)

そして、ステロイド軟膏と抗ヒスタミン剤の内服(ビラノア)を処方された。

そして、なんと、翌日には皮疹が嘘のように軽快し、痒みはほとんどなくなった。

(医学とは、なんと素晴らしいものであろう!と感じた)

結局、はっきりした診断名はわからないが、蕁麻疹のようであった。

そして、気がついたのであるが、

皮膚の症状とともにあったクシャミは消失し、そして、腹痛を伴う下痢もなくなった。下痢はしないが、スルリと排便するようになった。

 

「そうか、すべて、ヒスタミンの過剰が影響していたのだ」と思った。

 

ヒスタミンは肥満細胞によって分泌される。アレルギー症状を来す化学物質である。

では、なぜ、肥満細胞が増加したのか?

振り返れば、思い当たるのはピーナツである。

私は、小さい頃から、ピーナツでアレルギーを引き起こしていたが、

発症前に、ピーナツ入りの柿の種を頻繁に食べていた。

理由は、「暴れん坊将軍」である。

私は、松平健の「暴れん坊将軍」が好きである。毎回。悪者が退治されるのが爽快で気分がいい。

そのため、「暴れん坊将軍」の写真入りパッケージの柿の種を買って食べていた。

始めは、症状は出なかったが、やはり、アレルギーを生じて、肥満細胞が増加したのあろう。そして、あせもの反応が加わり、ヒスタミンが爆発的に増加したに違いない。。。

きっと、IBSもこの機序と同じであろうと、考えた。

つまり、IBSのきっかけは、何らかの食物アレルギーから始まる可能性がある。

そして、アレルギーによって増えた肥満細胞の状態で、高FODMAP食によって、腸管の内圧が上昇すると腹痛の閾値が低下しているため、容易に腹痛を来すのではないか?

そういえば、「腸の蕁麻疹:Intestinal urticaria」という論文を20年前に読んだことがある。

アレルギー反応によって大腸の粘膜が浮腫を引き起こすのである。

粘膜の浮腫は腸管の内腔の変化を来すであろうから、排便障害の原因にもなるであろう。

ということは、やはり、抗ヒスタミン剤はIBSに有効であろう。

もし、何らかのアレルギーで、抗ヒスタミン剤を服用している人は、

服用時にIBS症状が軽快することを確認して欲しい。

そして、蕁麻疹にステロイド軟膏が有効であることから、ステロイドの注腸は下痢型IBSに有効であるかもしれない。

しかし、その前に、何らかの食物アレルギーの原因はないか?

ということを確認することが前提であろう。

というのは、私のバカな妄想ではない。
色素沈着を来す蕁麻疹を生じる肥満細胞症という病気があるが、その場合、腹痛や下痢などのIBS症状と同じ症状を来すが、大腸内視鏡検査では、確定診断が難しく、生検による特殊染色によって診断される。そして、消化器症状だけの事もあり、その場合には、ほとんど全てIBSと誤診されているという報告もある。

Behdad A, Owens SR.

Systemic mastocytosis involving the gastrointestinal tract: case report and review.

Arch Pathol Lab Med. 2013 Sep;137(9):1220-3

胃腸管を伴う全身性肥満細胞症の症例報告

32歳の女性が、断続的な腹痛および下痢を生じて受診した。症状は呈示の3ヶ月前に始まり、さらなる評価のために胃腸科医に紹介された。鑑別診断には炎症性腸疾患が含まれていたため、上部消化管内視鏡検査と大腸内視鏡検査が推奨された。大腸内視鏡検査の所見では明らか異常はなかったが、生検で肥満細胞症と診断された。


つまりIBSでは、まず、肥満細胞の過剰な影響がないか?に、注意しなければならないのである。
(そして、「IBSはストレスですね。」と言って、アレルギーを調べようともしない医師は、
患者から見捨てなければならない。)

ということで、低FODMAP食を開始する前に、食物アレルギーの原因として、

FODMAPかつアレルギー原因として多い小麦や乳製品以外に、えび、かに、そば、卵、落花生などに注意することは必要である。ポイントは、食後、数時間以内のクシャミ、皮膚の痒み、目の痒みに注意することである。また、他の食品についても疑う食物は避けるべきである。

 

私の経験でも、パン職人が小麦アレルギーになって接触性蕁麻疹や小麦の食物アレルギーやIBSを引き起こすことがある。また、エビの皮むきで指が腫れる人は、エビで腹痛を来す。メロンや桃で、唇が腫れる人は、それらを食べて腹痛を来すなど、多くの関連性は実際にある。

2015年の横浜市立大学皮膚科の研究では同じ食物で、蕁麻疹と食物アレルギーをきたすことが報告されている。米、小麦、果物、野菜、魚、エビが多いようである。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25572560

 

Allergol Int. 2015 Jan;64(1):73-8.

Food allergy preceded by contact urticaria due to the same food: involvement of epicutaneous sensitization in food allergy.

Inomata N1, Nagashima M2, Hakuta A2, Aihara M2.

Author information

1 Department of Environmental Immuno-Dermatology, Yokohama City University Graduate School of Medicine, Kanagawa, Japan. Electronic address: ninomata@med.yokohama-cu.ac.jp.

2 Department of Environmental Immuno-Dermatology, Yokohama City University Graduate School of Medicine, Kanagawa, Japan.

 

Abstract

BACKGROUND:

There have recently been reports suggesting that sensitization to food allergens may occur outside the intestinal tract, especially through the skin. To clarify the role of epicutaneous sensitization in food allergy, we investigated the clinical characteristics of adult patients with food allergies preceded by contact urticaria due to the same foods.

 

METHODS:

We investigated clinical characteristics of 15 patients (20-51 years of age; 5 men and 10 women), who had food allergies preceded by contact urticaria.

 

RESULTS:

Fourteen patients were contact urticaria due to the causative foods during occupationally cooking, whereas 1 patient during face pack. In the occupational group, causative foods included rice, wheat, fruits, vegetables, fish, shrimp and cuttlefish; in the fresh cucumber paste case the cause was cucumber. In the 15 patients, the causative foods were fresh, not processed, and were tolerated by most (9/15, 60%) after heating. Regarding to symptoms after ingestion of the causative foods, the most frequently induced symptoms was oral symptoms (14/15, 93.3%), followed by urticaria (4/15, 26.7%), abdominal symptoms (3/15, 20%). The duration between the start of jobs or face pack, and the onset of contact urticaria was from 1 month to 19 years (mean, 8.7 years). The duration between the onset of contact urticaria and the onset of food allergy was from a few weeks to 6 years (mean, 11 months). One sushi cook experienced severe anaphylactic shock after ingestion of fish. In the occupational group, 13 of 15 patients (86.7%) had atopic dermatitis or hand eczema, indicating that the impaired skin barrier might be a risk for food allergies induced by epicutaneous sensitization.

 

CONCLUSIONS:

Epicutaneous sensitization of foods could induce food allergy under occupational cooking and skin-care treatment with foods in adults.