TV「便秘番組」の問題
Uno Y
私自身、過去にローカルTVで「便秘特集」の企画に関わり、出演したこともあり、その経験からTV「便秘番組」の問題を考える。
はっきり申して、TVでは素人的に納得して視聴してもらえることが重要であり、科学的に誤っていても受け入れられるような定説を中心に作成される。
例をあげる。
まず、民報ではスポンサーとの兼ね合いが重要であり、スポンサーに悪影響を及ぼさないことが忖度される。
最終的な結論から設定する。
多くは、食事、生活習慣、運動という方向に設定される。
スポンサーによっては、食事は発酵性食品によって腸内環境の改善すると導く。
そのゴールに向かって、時間配分の細かなタイムテーブルをつくる。
最初に、あまり売れていない芸能人で便秘がちな人物の紹介を行う。その場合、最もひどい場合を日常として紹介する。
「2週間に一度です」という発言の後に「えー!」という場内効果音を必ず入れる。
その便秘はどうして起こっているのか?
について、生活と食事を紹介する。
まずは、食物繊維の摂取が少ないように設定する。
そして、栄養士の登場。
「便秘の原因として食物繊維が少ないことが考えられます」
と言う。そして、どのようなものを食べれば、食物繊維が多く摂取できるかを解説する。
「食物繊維は、腸内環境を良くします」と、TV名医に言わせる。
ということで、イラスト、動画を挿入する。
さらに、「運動も少ない」と、TV名医に言わせる。
そして、腸を動かす運動を紹介する。
30分番組なら、以上でOK.
しかし、60分にするには、工夫を要する。
便秘芸能人の生活、食事の紹介の後に、
芸能人コメンテーターに、意見を言わせる。
司会者「何が問題だと思いますか?」
A「やっぱり、生活が不規則でしょう」
B「食事が問題だと思います」
C「ほとんど、運動していない」
等、言わせて、時間を稼ぐ。
また、お腹のレントゲン写真やCTで、「腸内に便が多い」というシーンを入れる。病院受診から撮影までのシーンを入れ、時間を稼ぐ。
さらに、時間が余った場合は、カリスマ料理研究家を入れて、食物繊維の多い料理を作るシーンを入れる。
それでも、時間が余る場合は、昔、話題になった「スーパー便秘」を入れる。実際は、直腸瘤のことであるが、そのような病名を使わず、「排便困難性便秘」くらいにして解説させる。そのゴールは排便をする姿勢や排便習慣にして、タイムテーブルに入れる。
まあ、そんな感じである。
私の経験では、ネットでの知識だけで、医師でもないTV番組のディレクターが、そのような感じでシナリオを作成していたが、すでにその非医学的なシナリオでの放送が決まってから、セリフ通りに話す医師を選択して出演させるので、シナリオを医学的におかしいという医師は番組に登場することはない。
しかし、それで、本当にいいのか?と思っていた。
そもそも、現在の医学番組の混乱は、予防と治療を混同していることにある。
便秘に関しても、そもそも便秘にならない予防と、
便秘になってからの治療は別物である。
確かに、非慢性便秘者では食物線維は予防効果があるかもしれないが、
それによって慢性便秘が改善するという話とは別である。
そのことが理解できなければ、根本的に、お話にならない。
そして、
医学的には、便秘には様々な種類がある。
そして、便秘の種類によって、異なった対処法をしなければならない。
一番重要なのは、
腸管がどれだけ拡張しているのか?である。
腸管の拡張がない一過性の便秘では、例えば、旅行先での便秘では、肛門付近で便が硬くなっているので最も有効なのは、薬局でグリセリン浣腸を買って浣腸することであろう。海外旅行に行くときは、グリセリン浣腸数本をバッグに入れていくのが肝要である。
慢性の便秘で腸管が拡張している場合、食物繊維や発酵食品では、かえって悪化する可能性が高いので、食物繊維をあまり多く摂取せず、まずは、酸化マグネシウムで便を柔らかくするのが第一であろう。ガスを抑えて、水分を多くすることが重要である。
病院・クリニックに行って、「ガスが多いだけですね」と言われたら、低FODMAP食にして、ガスの産生を抑制しながら、酸化マグネシウムを併用すれば、大抵、改善してゆくであろう。
しかし、それでは、TV番組をつくれないのは理解できよう。
とは、言うものの、私自身、単に「TVに出たい!」という理由から、
間違いを指摘せず、ディレクターの言うとおりにセリフを言っていた過去があるので、
批判する資格はないのかもしれない。
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