ピロリ菌は10万年間、何をしてきたか?
アニサキスからの保護?

Uno Y

 

 

今日、夢をみた。

夢の世界では私は、ある病院にいて、その病院で胃のアニサキスが多くなったので、地方会で研修医に報告させることにした。しかし、単に、報告するだけでは、何の意味もないので、何らかの考察をしなさいと、私は研修医に言った。しかし、研修医がどう考察すればいいのかわからないというので、「ピロリ菌とアニサキスの関係を調べなさい」と私は言った。

その言葉は、実際に、声で発していたので、

その自分の声で、夢から覚めた。

私は、確かに、

「ピロリ菌とアニサキスの関係を調べなさい」

と言ったのである。

夢から覚め、

『そんな、バカな。。。』

と、思いながら、その関係を調べてみた。

 

そして、面白い文献をみつけた。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5642071/

Clin Endosc. 2017 Sep; 50(5): 510.

Published online 2017 Aug 16. doi:  10.5946/ce.2017.094

PMCID: PMC5642071

Is There a Link between Clinical Manifestation of Gastric Anisakiasis and Helicobacter pylori Infection?

要旨

胃アニサキス症は、アニサキス線虫または幼虫に感染した魚介類の消費によって引き起こされる寄生虫病である。患者は通常、急性および重度の腹痛、吐き気、および嘔吐を呈する。内視鏡的除去は標準的な治療法である。欧米で胃アニサキス症の発生率の増加に伴い、この病気は広く世界的に認識されるようになった。患者の83.6は非萎縮性胃炎で、無症候性のアニサキスが多い可能性がる。アニサキスの幼虫は萎縮性胃炎よりも正常粘膜に定着する。そのため、胃アニサキスとピロリ菌感染は反比例する可能性がある。

 

これは、非常に面白い。

私が、北日本の日本海沿岸の胃癌多発地帯で勤務していた時、胃癌も多かったが、アニサキスも多かった。アニサキスがあっても、無症状の人も多く、そして、胃癌にアニサキスが刺さっていることもあった。

 

また、次のような文献もあった。

Clin Microbiol Infect. 2006 May;12(5):453-8.

Seropositivity to a major allergen of Anisakis simplex, Ani s 1, in dyspeptic patients with Helicobacter pylori infection: histological and laboratory findings and clinical significance.

ピロリ菌のいる場合には、アニサキスによるアレルギー症状が起きにくい可能性がある。

 

以上をまとめて考察してみる。

アニサキスは、ピロリ菌陽性者ではアレルギー症状を来しにくいので、ピロリ菌陽性者ではアニサキスが胃に存在しても、症状を来しにくい。つまり、実際のアニサキス感染は、有症状者よりもかなり多かった。北日本の日本海側で、魚を食べる人たちは、アニサキスがいる魚を平気で食べる人たちが生き残った。それらの集団は、アニサキスが胃粘膜を刺してもアレルギーが起こりにくいような高度な萎縮性胃炎をピロリ菌から獲得していた。萎縮性胃炎は、アニサキスの幼虫の成長を阻止することも可能であった。ピロリ菌によって高度な萎縮性胃炎を来すためには、高濃度の塩分摂取が必要であるために、それらの集団は塩の多い食事を摂取していた。(高塩分接収集団が生き残った)高度の塩分によって、その集団では高齢になると脳卒中や胃がんになり死亡するが、その結果として、常に若い集団となって、集団を継続することが出来た。しかし、他の因子の改善によって平均寿命が延びて、集団の高齢化が進むことによって、ピロリ菌と高塩分の長期的副作用(脳卒中、胃癌)が問題視されるようになった。ピロリ菌感染者が少なくなってきた日本では、アニサキスが胃に侵入することによって、アレルギー反応による腹痛を来しやすくなった。また、ピロリ菌感染が減少することによって、萎縮性胃炎が少なくなり、アニサキスの幼虫にとって好環境になった。そのため、現代では、有症状のアニサキス症が非常に多くなってきた。


ピロリ菌が胃に定着すると、胃粘膜で白血球が増加し、それらは胃以外の免疫調整に有用に働き、例えば、鼻アレルギーや喘息を予防、緩和する作用があることは確認されている。同じように、胃にアニサキスが侵入しても、有症状を来さないように作用していた可能性がある。

話は、初めに戻るが、私は眠っていても、夢の中で、考えているようで、
とても、疲れる。。。。