驚愕の論文:2017

 
Uno Y

 

本年、某国立大学から非常に驚愕すべき論文が報告された。

日本で、2013年からピロリ菌除菌の保険適応が拡大したことによって、2013年から胃癌死亡数が減少したというのである。

これは、私が医師をしてきて読んだ中で、最大級の「ビックリ論文」であった。

ピロリ菌除菌によって、胃癌発生が減少するとしても、すぐに胃癌死亡が減少するなど、常識的にありえない。

もしそうであるならば、1年以内に死亡するであろう胃癌をピロリ菌除菌で回復させたということになる。

つまり、ピロリ菌除菌に抗がん剤効果があるということになる。

しかし、たとえ、前癌状態が除菌で改善するとしても、5年以上の時間が必要である。

胃癌死亡数が減少する理由としての可能性は以下である。

癌罹患数の低下

癌生存率の増加

胃癌罹患率は低下してきているが、胃癌罹患者数は増加している。

https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2015/0428/index.html

 

11

 
2010年と2013年を比較しても、明らかに増加している。

2010年胃癌罹患数=125,730

https://ganjoho.jp/data/reg_stat/statistics/brochure/2014/cancer_statistics_2014_fig_J.pdf

 

2013年胃癌罹患数=131,893

https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

 

であるから、除菌によって胃癌発症が減少→胃癌死亡減少という証拠は全くない。

つまり、胃癌になる人は増加しているが、胃癌で死ににくくなったということである。

そして、生存率は以下である。

 22図1

 

特に、進行した胃癌の生存率が増加している。
遠隔転移であっても、10年間で年270人が救命されるようになったのである。

さらに、内視鏡検査の増加によってより早いステージの胃癌が増加した可能性もあるが、

年次によるステージ割合変化のデータは、まだ見つけられない。


なお、日本での胃癌死亡数は2013年からではなく、2011年から徐々に減少している。

なお、この2011年からの胃癌死亡数減少について、腸上皮化生が5~10年後に改善してゆくという論文が最近報告されたので、日本で胃潰瘍、十二指腸潰瘍でピロリ菌除菌が2000年に保険適応とされ、その後、2001年から年間60万人が除菌されたための10年後の影響ではないかと、ここ1週間計算したが、残念ながら除菌効果によると導けなかった。ネックは、2010年から2013年の胃がん罹患率が減少していないためであった。
ピロリ菌感染→胃癌→胃癌死亡
という前提で除菌が有効とするには、
ピロリ菌除菌増加→胃癌罹患数減少→胃癌死亡数減少
が必要であり、
胃癌罹患率減少がなければ、導けない。
なんとか、理屈をつけるには、
ピロリ菌除菌をしても胃癌は減らないが、
除菌によって胃癌の悪性度が低くなり、死亡しにくくなる、とするしかない。
その線で、年末年始に、もう少し、考えてみたい。


<追加資料>

厚生労働省:201765日第22回がん検診のあり方に関する検討会:議事録

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000169058.html

 

○大内座長 それでは、第22回「がん検診のあり方に関する検討会」を開催いたします。

 議題(1)報告事項から入らせていただきます。「ヘリコバクター・ピロリ除菌の保険適用による胃がん減少効果の検証について」につきまして、上村参考人より御説明をお願いいたします。

○上村参考人 国際医療センター国府台病院の上村です。

 先生方が御存じのように、2013年、4年前の2月に、世界で初めて内視鏡検査と感染診断によって診断されるピロリ感染胃炎に対する除菌治療が公的資金によって賄われることになったわけです。それの胃がん減少効果の有無を検証するというのが、本研究の目的であります。4カ月間という短い間でしたので、また保険が通って4年間ということで、なかなか難しかったことは事実です。

 研究の方法としては、去年の12月からこの3月までの4カ月間で、人口動態、NCCの公開データ、NDB、それから公表されている論文といったものを使用しまして、胃がん死亡率、胃がん死亡者数の推移などを検討いたしました。

 それでは、資料を見ていただきたいと思います。まず資料1の下段は、がんセンターの片野田先生にお願いして、1970年から現在までの年齢調整死亡率に関するグラフを書いてもらっております。最後は予測値で、これのコメントは2013年以降の実測値は予測値を下回った。

 次のページの上段は、しかしながら、男女ともに1990年代後半以降に統計学的に有意な変曲点、これは統計学的に明らかに胃がん死亡率は下がったよということは見出せなかったということでございます。

 そこで、その次の下のグラフは、年代別の胃がん粗死亡者数の年次推移を作図しております。これは人口動態からつくったものです。ごらんのように、60歳以下では著明な減少効果を認めておりますけれども、70歳以上、80歳以上といった高齢者におきましては、死亡者数はまだ減少していないという状況です。

 次のページの上段は、ピロリの感染率を年代別に推移を示したものです。これを見ますと、一番上から下に向かって年代が最近になっているわけですけれども、明らかにピロリの感染率が減少しているということは、先生方も御存じのとおりです。特に若年者では減少しております。

 その下は、生誕年と感染率の関係ですけれども、同じようなものでございます。

 次のページですけれども、それを50歳代と20歳代に分けてみて、上段は50歳代と20歳代の感染率の推移です。1970年代では20歳代でも50%以上の方が感染していましたけれども、現在ではもう10%以下になっている。50歳代でも、90%以上の人が感染していたわけですけれども、40年後の今ではもう半数以下、40%ぐらいになっている。このように、感染率は非常に低下している。

 その下が、50歳未満の胃がん粗死亡率の年代推移です。これを見ましても明らかにわかりますように、1970年代から2010年代にかけまして、55歳未満以下の胃がんの死亡率は激減しているということで、これはパラレルのように見えます。

 次のページですけれども、上段に示しておりますのが、1970年から2000年までは胃がん死亡者数は約5万人で推移していたものは皆さんの御存じのとおりです。それが2000年から徐々に減ってきておりまして、ここに書いておりますが、2000年というのは消化性潰瘍peptic ulcerに対する除菌治療が承認された年です。2013年に胃炎に対する除菌治療が承認されていますけれども、このように赤線の実数と、このブルーはがんセンターのほうで公表されております胃がんの予測死亡者数と比べて、毎年3,000人ずつ少ない数字になっています。なぜかということをお聞きしたところ、がんセンターの予測死亡者数にはピロリ菌の除菌とかピロリ菌感染のファクターが入っていないということでありました。

 では、2013年からどのように一般の診療現場で変化があったかということを下に示しております。これは除菌判定に用いる薬剤ですけれども、2013年、もちろん保険適用になって激増しております。これは呼気テストに用いる薬剤ですけれども、これが激増している。

 次のページでございますけれども、北海道のレセプトデータベースは、今の東北の藤森先生にお願いして出してもらいましたけれども、やはり一次除菌件数がふえてきている。2012年、2013年のところを見ていただければおわかりになるように、3倍近くになっている。

 それから、その下の図も藤森先生、函館病院の加藤先生にお願いしてつくってもらいましたけれども、全国のピロリ一次除菌件数、これは推測になりますけれども、13年に倍以上にふえているということでございます。

 次のページの上段は、内視鏡検査件数です。これもピロリ除菌が保険適用になって医療費は少しふえたかもしれないけれども、内視鏡の件数が非常にふえたということが言えます。

 その下は、早期がんに対する内視鏡的腫瘍切除術数の推移です。これも推定になりますけれども、こういったものがふえているということでございます。

 このような形で、ピロリの感染率と胃がんの死亡者数は、今まではパラレルに来ておりました。除菌治療が始まって保険適用になってからは、何らかの原因で胃がん死亡者数が低下しているのです。しかしながら、統計学的にそれを証明することは、今回は不可能でした。

 次のページでございますけれども、日本では余りなじみがないのですけれども、世界的には遺伝性びまん性胃がんは1998年にマオリ族で発見されて、常染色体優性遺伝をいたします。アメリカの女優さんが乳房をとったことでもよく知られておりますけれども、これは京都大学の一家系を上に示しております。発端者は27歳の男性でありまして、CDH1の変異が原因の遺伝子変異ですけれども、これとピロリ感染が陽性の人でスキルスで見つかっております。

 そのお父さんは49歳男性で、34歳のときに進行がん、これはCDH1変異が陽性、ピロリ感染が陽性です。

22歳と20歳の妹さんがいまして、22歳の妹さんはCDH1が陽性でありましたけれども、ヘリコが未感染で、内視鏡をやりますと、10個以上の印環細胞がんが粘膜内に存在していました。

 次女の20歳の方は、ピロリも感染していないし、CDH1も陰性ということで、全く普通の未感染の胃でありました。

 下に示しておりますのが、国府台病院でこの12月に発見されたのですけれども、これは専門的になりますけれども、2011年から、胃角の前壁というところに印環細胞がんがずっとあるのです。5年間全く変わらない。今回、生検しまして、印環細胞がんということでsignet ring cell carcinomaを内視鏡で切除いたしました。したがって、この方はもちろんヘリコが未感染、すなわち、炎症がないとプロモーションが起こらないということが、ある程度このケースレポートからわかるわけです。

 最後は、一応仮説ですが、ヘリコに未感染、炎症がない場合には、基本的な遺伝子変異が起こっても、胃がんは浸潤しない。ヘリコの感染があると炎症があって、プロモーションがかかって、浸潤がんになっていくということがすごく強く示唆されました。

 以上、まとめますと、胃がんの死亡率や死亡者数は若年者を中心として明らかに減少しております。しかしながら、今、問題になっているのは70歳以上の高齢者における胃がん死亡者数は減少していない。ピロリ感染率の低下が大きな要因であると推測されますが、今後、若年者の感染率低下とともに、胃がん死亡者数のさらなる減少が期待されましたが、75歳以上の高齢者に対する対応は、喫緊の課題と思われました。

 この2013年以降、保険適用になってからは毎年3,000名と、予測値より少ないわけですから、今回の検討では統計学的には有意な形ということはまだ見出しておりませんけれども、今後、この推移を見ていく必要があるということが言えます。

 ピロリ菌の除菌をしてすぐに胃がんが抑制されて、胃がんの死亡者数が減るなどということは絶対にありません。当然ながら10年、15年かかると思います。だから、これは恐らく一般診療現場で内視鏡の件数がふえて、死ぬ前の胃がんが発見されてというように考える。残念ながら、真の原因については、今回の検討では見出しておりません。

 一番大きいのは、ピロリが未感染の胃、いわゆる生まれつき未感染の方は、炎症がない場合に胃がんができたとしても浸潤がんにならない可能性が大ということなのです。これで今後、検診にもピロリ感染の有無をどこかで、例えばバリウムで検診をやっている場合には、バリウムの写真をデジタル化したものをAIで解析すればすぐにピロリ感染の有無は容易にわかります。恐らく、500例ずつでも検討すれば、ピロリが未感染という人を抽出できると思います。そういった形で今後、もちろん内視鏡検診が始まれば、それをファクターに入れなければいけない。未感染の人は検診を受ける必要がなくなる可能性があると思います。

 以上、今回の検討の報告であります。

○大内座長 ありがとうございました。

Hp除菌の保険適用によっての胃がん減少効果についての説明がございました。

 これにつきまして、きょう来ていただいております浅香参考人から、コメントをお願いいたします。

○浅香参考人 医療大学の浅香でございます。

 今、上村先生が詳細な報告をされましたけれども、それに対して私なりの評価をしてまいりましたので御報告いたします。

 まず最初に、保険が通ったことで発生件数が減少した疾患があるか。これはあるのです。2000年に胃・十二指腸潰瘍に対して、ピロリ菌の除菌が保険適用になり、その後何の対策もしないのにもかかわらず、2011年には発生件数が57%の減少を示しております。十二指腸潰瘍に至っては75%減って、恐らく十二指腸潰瘍はここ10年、20年で日本人からなくなる病気になっていく可能性があると思います。ですから、原因療法の威力は、いわゆるがんの一次予防に相当するものであり、きわめて大きいと考えられます。

 今回、保険が通ったのは、ピロリ感染胃炎という慢性胃炎の一種ですけれども、この疾患から胃・十二指腸潰瘍や萎縮性胃炎、さらには萎縮性胃炎を経由して分化型の胃がんが発生するわけでございます。分化型の胃がんは萎縮性胃炎を経由して発生するものですから、除菌だけで予防可能かどうかは難しいと思われます。

 それでは、検証を始めたいと思います。まずは、除菌数です。上村先生のほうから、2012年に60万件だったのが、保険が通ってから年間150万件に増加し、4年間で約600万件に達しているという電子レセプト分析による報告がなされました。

 これが事実かどうかを判定するために、ピロリ菌の呼気試験用診断薬であるユービット錠の販売実績、これはガイドラインでも書かれているようにピロリの除菌の判断には必ず使われるものですから、これを大塚製薬の協力で調べましたところ、4年間で約650万件と、除菌数を基にしたレセプト分析の件数とほぼ同様であることが明らかになりました。

 もう一点、除菌薬の販売実績をIMSというところに調査をしてもらったところ、これも4年間でほぼ600万件前後ということでございました。

 したがって、上村班による除菌数のデータは、信頼性が極めて高いと思われます。

 次に、最も重要な胃がん死亡者数についてでございます。わが国の胃がんの死亡者数は、上村先生が言われたとおり30年以上、ほぼ5万人で変化がなく経過しており、4万8,000人を切ることはありませんでした。

 今回は除菌適用後の2013年から下がり始めまして、2015年には4万6,659人となっています。しかし、統計学的な証拠は見出されなかったと報告されました。

 私は、愛知医大の公衆衛生の菊地正悟教授と共同で有意差検定を行いました。過去20年の胃がん者死亡数の平均値を出しますと、5万42名ですのでこれと比較しますと、2013年までは有意差はなかったのですけれども、14年から有意差が見られて、p値は0.001でした。

2015年になりますと、p値はゼロが20つくぐらいの値になり、両者間の有意差はさらに明瞭になりました。

 我が国の胃がん死亡者数が予測と乖離して減少したことになります。実は2016年の死亡者数のデータが先週の金曜日、6月2日に厚労省の統計局から公表されました。

 それによりますと、がん死亡者数の総数は2015年では29万人亡くなったのが、2016年では307,000とふえているのです。ところが胃がんだけ減っています。胃がんの2016年の胃がん死亡者数は4万5,509人、2015年よりさらに1,200人も減少しました。 過去20年の胃がん死亡者数から見ると、9.2%の減少であり、統計学的に有意な減少であります。過去50年にさかのぼって、胃がんの死亡者数を調べたところ、これだけ継続的に下がったことは一度もございませんでした。今後の傾向もみる必要がありますが、胃がん死亡数が減少に転じた可能性が高いと考えられます。

 ちなみに、国立がん研究センターの胃がん死亡者数予想では、2016年に達成した4万5,000人に減少するのが2020年となっています。保険適用のおかげで4年も早く目標を達成したことになります。

 この間、保険が通ったことによって命を救えたと思われる人の数を計算してみましたら、1万1,670人にもなりました。保険が認可されたことでこれだけ多くの人命が実際に救われているのです。

 次は、なぜ減少したのかを考えてみます。先ほど上村先生が説明されたように、保険適用後、上部消化管内視鏡検査の件数の増加が見られることから、いわゆる保険を利用した内視鏡検診が行われた状況になってきていると思われます。 その結果、早期がんの発見が増加し、ESDなどの内視鏡的手術の件数が、増加が出てきたのではないか。要するに、今回の胃がん死亡者数の減少がこんなに早く達成できたということは、上村先生が言われたとおり、ピロリ菌の除菌による罹患者の減少というより、無症候者で内視鏡検査を受ける人が急増したため、見つかる胃がんの頻度が増えその中でも早期がんの頻度が上昇したため生じた現象であると考察できます。

 実際に、日本消化器病学会での発表によりますと、保険適用後に内視鏡で発見された胃がんは95%が早期がんと言われています。

 最後にこれからの展望を述べます。保険適用後、明らかに胃がんの死亡者数が減ってきていますが、間もなく、ピロリ菌の除菌効果による胃がん罹患者数の減少が始まると思われます。将来的には、これらの相乗効果によって、さらに胃がん死亡者数は減少してくると考えられます。

 すなわち、2020年には、わが国の胃がん死亡者数は国立がんセンターの予測より1万人少ない3万5,000人程度になって、我が国の胃がん死亡者数は30%以上の減少を示すと考えられます。

 総括です。ピロリ菌の除菌がピロリ感染胃炎で適用になったことで、わが国では一次予防と二次予防を組み合わせた理想的な胃がん対策が我が国でできるようになったと考えられます。これは、世界でもわが国しか施行できない方法であり、IARCなどから高く評価されると思われます。

 以上でございます。

○大内座長 大変貴重なコメントをありがとうございました。

 かなり踏み込んだコメントになりましたけれども、構成員の皆様におかれましては、ただいま、特に上村参考人の資料を拝見されて、御質問等ありましたらお願いいたします。

 斎藤構成員、どうぞ。

○斎藤構成員 この胃がんが減っているというのは、数も率も間違いないことですけれども、何で減っているのかというのは普通、判断が非常に難しいと思うのです。

 今回、お示しになった資料の中の、今、減っている、それから除菌の件数の推移とパラレルだとおっしゃった根拠は、この9枚目のスライドだと思うのです。このがんセンターの予測死亡者数をどうやってだしたのか方法がわからないので、実測値が予測より下がったかどうかについてはコメントは差し控えたいと思います。ただ、これを見ると、実測値は2000年からずっと連続的に死亡者数が減っているということです。一方、その原因と御説明があったその下の図の除菌件数ですけれども、これがふえているのは2013年からなのですね。

 死亡というのは減少効果が出るまで随分時間がかかるわけで、減少する2000年以前に何か原因があったと考えるのが普通、疫学傾向を見るときに考えることだと思うのです。

 それで、関連するほかの要因として何があるのかよくわかりませんが、13枚目のスライドを見ますと、これは内視鏡の件数の推移が書いていまして、2006年からしか書いていないので、これ以前のトレンドはわかりませんが、少なくとも2006年からは連続的に増加しているということが見てとれます。2006年以前も増加している可能性があると思います。

 そうすると、パラレルということですが、そうではなく、死亡数の減少はこの除菌との関連よりは、むしろ内視鏡の増加というように私には見えるのです。

 胃がんとヘリコバクターには因果関係はあるわけですけれども、お示しのデータでは、除菌で胃がんが減ったということはちょっと言えないのではないかと考えます。

○大内座長 上村参考人、いかがでしょうか。

○上村参考人 私も、除菌でダイレクトに減ったとは言っていないし、また、それはまだそういう段階ではないと思います。

 今、斎藤先生が言われたのは、まさしくそのとおりで、2000年ぐらいから減り出しているのです。これは恐らくヘリコ感染率の、これも推測にすぎないのです。何が本当のファクターで、どういうファクターによって胃がんの死亡者数が減っているかということを、今回の私たちの検討でも明確に出ていません。

 しかしながら、これを見ますと、30年間5万人に推移していたものが減ってきたというのは、何らかのものがあったと。そこにあるのは、ヘリコの感染率が低下しているのは間違いないです。

 それからもう一つは、先ほど浅香先生が言われた、消化性潰瘍のあれで、ヘリコ感染に対して日本の医療が興味を持ち出したのが2000年です。だからその前に、1994年にWHOが承認いたしました。その辺から、日本でもヘリコ感染といったものに対して、内視鏡で見ていったり潰瘍もヘリコ陽性かどうかとかを見ていった。そういった臨床現場における変化、ファジーな部分で減ってきたのではないかと推測はしております。

 ただ、除菌によって減るということは、まだまだ先の先の先の話だと思います。

○大内座長 ほかに御意見ございますか。

 どうぞ。

○浅香参考人 除菌による胃がんの発生の減少と、保険適用による内視鏡検査の増加によって見つかる早期がんの頻度の上昇の二つの相互作用によってわが国の胃がん死亡者は劇的に減少してくると考えられます。

 これまで50年間で、胃がん死亡者数が4万7,000人を切ったことは1度もないのです。保険が通ったことによる除菌数の増加に伴い、胃がん死亡者数が、2016年には4万5,000人まで減少したことはきわめて大きな意義を有するのです。 わが国では胃がん予防に関して一次と二次予防の両方が合わさって理想的なものが動き始めてきたのではないかと思っております。

○大内座長 上部消化管内視鏡が、これでパラレルに推進されておりまして、先ほど、浅香参考人が触れられたように、内視鏡検査及び内視鏡的粘膜下層剝離術、ESDの件数もかなりふえているということです。そのようなデータは、例えばレセプトデータ等から拾えるのでしょうか。

○上村参考人 それは、今回ちょっと時間がなかったのですけれども、今、北大と東北で、藤森先生のほうでもっと詳しいデータがだんだん出ていますけれども、多分、浅香先生のほうがもしかしたら知っているかもしれない。

○浅香参考人 保険が認可されたことにより、早期がんの頻度が増えてきているということは、内ESDがふえていて、外科手術は減っているという藤森教授の分析から明らかなのです。ですから、保険適用後は進行がんが減って早期がんがふえているといえます。

 本年より、内視鏡を加えた胃がん検診が始まりますが、この保険適用のときから、内視鏡検診が始まっているような状況になっているのではないかと考えられるのではないでしょうか。

○大内座長 ただいまお名前の出ました東北大学の藤森研司教授が、厚労省の検討班等でもレセプトデータを把握されております。その中身については、今後さらに個々の胃がんの推移と予防的な除菌との関連について、それから具体的にはESD等の件数も含めて検討していただければと思います。

 ちょっと気になったのは、まとめの中で75歳以上に対しての対策ということが書かれておりますが、この件については時間の関係上、次回以降でまた検討したいと思います。

 本日は報告ですので、この辺でよろしいでしょうか。

 どうぞ。

○祖父江構成員 時間を頂戴しまして、済みません。

 3ページ目の年代別のピロリ菌感染率あるいは生誕年とピロリ菌感染率の関係とありますね。この図で除菌によって感染状況にない人と、もともと感染していない人の区別をした上で感染率は求められますか。

○上村参考人 先生、もう一度お願いします。

○祖父江構成員 ですから、除菌によって感染でなくなった人の割合をこの図の中に示せますか。

○上村参考人 除菌によって陰性になった方ですか。それは入っていません。

○祖父江構成員 それが割合として大きくなければ、全体としての影響は余りないのではないですか。

○大内座長 詳しいデータについては、これは分類できるのですか。除菌は全く含まれていないのですか。

○上村参考人 除菌治療によって陰性になった人のデータが、この中に含まれていることはほとんどありません。日本で除菌治療が保険承認されたのが2000年なのです。それも消化性潰瘍です。したがって、この方たちは除菌治療をされてなくなったという方々は、ほとんど入っておりません。

○祖父江構成員 今後、そういうデータを積み上げていくことは可能ですか。

○上村参考人 今からは不可能というか、要するに今からは、除菌治療をされてなくなった人の陰性は、結局、感染診断の問題になります。血清抗体法だけでは不可能です。話になりません。

 内視鏡検査とか画像診断を用いれば簡単に、除菌していて陰性になっている人か、未感染、最も重要なのは生まれつき感染していない人はまず胃がんで死ぬことはほとんどないです。99.9%ないと言えます。

 しかしながら、今からこういうデータをマスで見るためには、血清抗体とかで見なければいけないから難しいです。

○大内座長 どうぞ。

○浅香参考人 最後なのですけれども、今、私も不思議な図だなと思ったのですけれども、これは13年から通っていますから、13年、14年だと、まだ除菌で減った人はすごく少ない。151610%近く減っていますから、大変だと思いますけれども、ぜひ20152016のデータをつけ加えていただいて、報告していただければありがたいと思います。

○大内座長 では、これはまだ途中経過ということで、とどめたいと思います。

 ありがとうございました。

 
<追加資料>
2011年、2012年の出来事

第180回 衆議院 厚生労働委員会 平成24年3月7日 第2号|国会会議録  

http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/180/0097/18003070097002.pdf


11図1


22図1






http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/179/0062/17912010062003c.html

 

第179回国会 厚生労働委員会 第3号
平成二十三年十二月一日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ───────

○秋野公造君 公明党の秋野公造です。お役に立てますよう、質疑に入ります。

。。。

胃がん対策について伺いたいと思います。
 我が国では、二分の一の方ががんにかかり、また三分の一の方ががんでお亡くなりになるということでありますが、その中でも胃がんでお亡くなりになる方というのは非常に多いわけであります。一方で、そうはいっても、我が国の胃がんの五年生存率というのは圧倒的に高くて、例えば我が国の五年生存率は六〇%ぐらいでして、アメリカやフランスやドイツやイギリス、そういったところは一五%から二五%ということであります。この圧倒的に五年生存率が高い理由はどのように考えておりますでしょうか。
○政府参考人(外山千也君) 我が国におきまして胃がんの五年生存率が高いことに関する根拠は明らかではございませんけれども、一般的には、上部内視鏡検査の普及などによりまして比較的早い病気の段階で早期発見がなされ、手術や内視鏡治療など国際的にも質の高い治療が行われていることによるものと言われております。
○秋野公造君 医療機関における早期発見、早期治療が五年生存率を高めているのではないかという御答弁でありますが、そうはいっても、胃がんで亡くなる方というのは横ばいが続いているわけであります。医療機関において、そういう具合に医療機関の貢献というものが大きいのであるならば、いよいよ検診又は予防が大切ということになりますが、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染により慢性胃炎が起こり、その中から胃がんが発生をすると、そういうような考え方でよろしいか、見解を伺いたいと思います。
○政府参考人(外山千也君) ヘリコバクター・ピロリ菌が胃粘膜に感染いたしますと、毒素などを排出することで胃粘膜の防御機能を低下させ、慢性胃炎を引き起こし、悪化すると胃潰瘍などが発生するメカニズムは既に国内外の様々な研究などから科学的根拠を持って解明されております。
 一方、ヘリコバクター・ピロリ菌と胃がん発生の関係性に関しましては、国際がん研究機関、IARCにおきまして高い発がん因子であることは示されておりますけれども、全てのピロリ菌感染者から胃がんが発生するわけではございませんで、特殊な発がんの環境が整って初めて発生するなどの諸説があると認識しております。したがいまして、ピロリ菌が慢性胃炎を起こし、直ちに慢性胃炎が胃がんを誘発するというものではないというふうに考えております。
○秋野公造君 直ちに起こすとは私も思っておりませんが、ヘリコバクター・ピロリ菌が感染した萎縮性胃炎から胃がんが起きているというのは公知の事実であり、そのことをIARCも言っているんだと思います。
 そして、ヨーロッパの消化器内視鏡学会の診療ガイドラインが印刷中に入ったそうであります。ですから、もうすぐ表に出てくる形になるかと思いますが、情報によりますと、このヨーロッパ消化器内視鏡学会のガイドラインの中では、萎縮性胃炎と異形成に対してヘリコバクター・ピロリの除菌を行うということが盛り込まれる方向だと聞いております。この前がん病変、がんになる前の状態のものに対して、日本ほどヘリコバクター・ピロリ菌に感染をしていないヨーロッパにおいてこういう突っ込んだガイドラインができるということは、我が国においても考えなくてはいけないことだと思っています。前がん病変、検診でピロリ菌の除菌をヨーロッパも必要だと考えているようでありますが、我が国としてどのように対応されるおつもりか、厚労省の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(小宮山洋子君) 今委員の方から印刷中ではないかというお話ありましたが、ヨーロッパでの診療ガイドライン、まだ発表されていない、こちらが入手ができていないので確認はできていませんが、既に国内の学会、日本ヘリコバクター学会が発表しているピロリ菌の診療ガイドラインで、萎縮性胃炎などに対する除菌が推奨されているということは承知をしています。
 ただ、これはあくまで診てくださいといって来られた症状のある診断をされた患者に対する治療ガイドラインですので、これが健常な方を対象としたがん検診にどう使えるのかとか、がん予防に対するピロリ菌の除菌の有用性、これは専門家の中でも様々な御意見があるかと聞いています。
 ですから、今後、年明けになるかと思うんですけれども、がん検診の在り方に関する検討会、これを設置をいたしまして、内外の最新の知見を踏まえてしっかりとした議論をしていただき、国民の皆様に対して命や健康を守るがん対策、これは大変重要ですので、この検討会の検討を基に進めていきたいというふうに考えています。
○秋野公造君 ヨーロッパにおいても貴重な知見だと思いますし、確かにヘリコバクター・ピロリ菌、健常な人に全部するのかどうかはともかく、ヘリコバクター・ピロリ菌を、感染している人を見付け出すということは必要なことになるかもしれませんので、どうか専門家による検討をよろしくお願いをしたいと思います。
 そうはいっても、このヘリコバクター・ピロリ菌が慢性胃炎、萎縮性胃炎等に対して治療が適用できるようにしていく準備というのは一方で進めておく必要があるかと思っています。現時点においては適用とはなっていないわけでありますが、もしも、これはもちろん申請が出てきたらの話だとは思いますが、慢性胃炎に対する、あるいはこのヘリコバクター・ピロリ菌が陽性の慢性胃炎に対する適用拡大の見込みについて、厚生労働省に伺いたいと思います。
○政府参考人(木倉敬之君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌につきましては、現在のやり方としましては、胃酸の分泌を抑えますプロトンポンプ阻害剤、これと抗生物質の二種類を併用しました三剤の併用療法による除菌の方法が一般的に行われていますけれども、この三剤の薬剤、この除菌の対象といたしまして今承認されておりますのは胃潰瘍あるいは十二指腸潰瘍というところにありまして、御指摘の慢性胃炎につきましてはまだ薬事法上の適用の承認が取られていない状況にございます。
 この適用の拡大をしていただきます際には、製造の企業の方から承認事項を変更していただく必要がございまして、一部変更承認の申請をお願いしなきゃいけないことになりますが、そのときに、その申請に当たりまして、慢性胃炎の患者さんたちを対象にしての投与の有効性、安全性を検証する治験のデータを出していただくことになるわけでございますけれども、この治験実施に当たりまして、今も臨床施設の方でいろいろと取組は進められているように伺っております。
 これらのものにつきまして、その治験を進めるに当たりましても、効率的に進めていただくような治験計画をきちんと作っていただくことがこれまでの実績を踏まえてできるんではないかと思っておりまして、その辺のところは、申請を踏まえて、相談をしながら効率的な治験計画を立てて進めていき、それを適切に審査をするという方向で臨んでいきたいというふうに思っております。
○秋野公造君 どうかよろしくお願いをいたします。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<追記>


33図1

X=年度‐2011
年1000人減として、
2017年死亡数予想=4万45000
2018年死亡数予想=4万35000
2019年死亡数予想=4万25000
2020年死亡数予想=
4万15000
2021年死亡数予想=
4万05000