英国のRotageek:医療業務のAI管理による増収と労働環境整備
Uno Y
ある用件で、英国の医学界の重鎮でロンドン大学名誉教授であるRoy教授と個人的にメールを交わした。
そして、現在、Roy教授はAI(人工知能)を利用した医療業務の効率化によって、医療関連施設の収益を上げる作業を請け負う会社のトップ(会長)になっていて、実績をあげているという情報を得た。
Rotageek
具体的には、スタッフの能力や勤務時間帯の仕事量などを、AIで管理して、無駄な時間を減らし、個人の能力によって適切に時間配分を行い、さらに、休憩、休息日の有効な設定を行う。それによって、経費が大幅に削減された事例も提示されている。
2009年にRoy教授が外科医の深刻な労働について記している。
Pounder R.Working time regulations for trainee doctors. BMJ. 2009 Nov
5;339:b4488
<論文要旨>
米国の外科医の週最大80時間労働が懸念されている。欧州の労働時間命令ではヨーロッパ内の研修医が週48時間労働を要求している。
外科の研修医にとって週80時間労働は外科医として必要な経験を得るには不足かもしれないが、外科医が手術を成功させるためには十分な休養が必要である。
欧州EUの多くの国では、研修医の勤務時間について順守していないが、ギリシャとアイルランドでは法令違反の裁判が行われている。
欧州労働時間命令では24時間ごとに11時間の休息時間、毎週または2週間ごとに24時間または48時間の休暇、週労働時間平均48時以内の制限している。
以上から、法令の順守可能なサービス提供システムを開発すべきである。
・・・・・・・・・
日本では、長時間労働の基準は以下である。
週60時間以上の労働
月45時間以上の時間外労働
そして、月80時間以上の労働は「過労死ライン」とされる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E6%99%82%E9%96%93%E5%8A%B4%E5%83%8D
厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」の資料がある。
労働基準法では1週間40時間、1日8時間を超えて労働させてはならず、順守しなければ罰則であるが、時間外労働(1カ月45時間あるいは1年360時間が上限)がある。さらに特別条項によって延長が可能となる。特別条項によって、1カ月200時間、1年1,470時間の病院もある。
男性、女性医師共に20代では週50~60時間がピーク、男性医師では30代が60~70時間がピークである。
雇用者全体では1週間の労働時間が60時間を超えた割合が14%、
職種別では医師が41.8%と、最も高い割合である。
4割の医師が過労死ラインを超えるような働き方を実際に行っている。
産業医がまともに機能している病院が余りない。
行け行けで働かせる上級医とかがいて困っているときもある。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000176215.html
当直をやっていない医師は46%。月1~4回の当直をしている人が42%。5~8回の人が10%。9回以上という人が2%。1~4回というのは、若手の医師が非常に多く、診療時間は44時間ぐらい、待機時間は6時間。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000182325.html
「当直医師の翌日勤務緩和体制について」体制があると答えた施設が26.5%だが、実際に100%実施されている割合は12.7%。
ある病院の同じ給与で働いている3年目の後期研修医の1週間のスケジュールを異なる科で比較では、救急救命科の勤務時間90~100時間ぐ、宿直が月に4回、休日は月に2日程度。不定期で他院での勤務がある。皮膚科は、勤務時間が約49時間で、当直は月に2回。土日は、月に2日は午前に処置当番がある。麻酔科では、勤務時間が約56時間、当直はなくて、平日のオンコールは月に2回。時々手術時間の延長や、翌日の準備等がある。
現在の過労死の判断基準となる時間の100時間は、睡眠時間が5時間を切ると脳血管疾患が増加する、月の労働日が20日間、労働時間の時間外が5時間で、やっと睡眠時間が5時間とれるということで決められた。
基本的にコ・メディカルに関しては労務管理は非常に厳密にされているが、医師についてはない。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000185269.html
平成27年の調査で「当直日の平均睡眠時間4時間以下」39%。
「自殺や死を毎週/毎日具体的に考える」3.6%。「抑うつ症尺度QIDS中等度以上」6.5%
研修後に時間外の拘束が少ないマイナー科に進む割合が増え、地域医療崩壊に関連している。時間制限を入れることによってマイナー科に行かなくなるのではないか。
20代、30代を中心にかなりの長時間勤務がある。また、50代、60代でも半数またはそれ以上がかなり長時間勤務をされているという実態が明らかである。1回の勤務当たりの最長連続労働時間を定めている施設が8.6%、インターバルを定めている施設が3.8%、勤務時間短縮に向けて病院から早く帰宅する積極的に促している施設が10.2%。
主治医のかわりに夜間に当直医が夜間急変時の対応を行っている病院が64.5%。時間外、休日における御家族への説明を行っている病院が50.5%。夜間・休日の救急対応は、三次救急病院にみんな送ったらどうかという意見もあるが、そうすれば、三次救急のところがパンクする。医師の応召義務、医師は診を請われれば、不在の場合か、酩酊状態か、自分が大きな病気以外は断れないという応召義務があるが、もしこれが労働量規制で超過勤務になると断れるのか。救急で自分の専門外ですと言って断れるのか、応召義務は大分昔に決まったもので、今の時代にそぐわないのではないかという意見が大分出ている。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000187324.html
以上、ざっと読んでみたが、日本の医師の過酷な労働の実態がみえてくる。
日本の医師の4割が過労死してもおかしくない状態であると厚生労働省が把握しているということがわかった。
私自身、36時間連続勤務後に少し寝て、また36時間勤務ということを繰り返していた経験がある。
そのことをRoy教授に伝えたところ、非常に驚いていた。
私は現在、バイト生活をしているが、そこで気がついたのは、バイトだけしている医師が以外と多いという現実である。そして、当直のバイトは非常に高額であり、常勤医による当直の支給額が明らかに低い。
過酷な労働条件は、看護師のローテでも言える。病棟の看護師の勤務表は看護師長が作成する。(看護師長の仕事は主に勤務表作成であり、その他は会議と苦情対応のみの病院も多い。)病棟の勤務表は、主に年功序列で上から名前が記され、下の方が若いが、下の方から夜勤の勤務が決まってゆく。それは、若い看護師がどんどん辞めていくひとつの理由かもしれない。
話をAIに進める。
日本でも医療にAIを応用できないか?と考えられている。しかし、医療への応用は、診断技術への応用、患者管理への応用に限定されているようである。
しかし、それらは、ある意味、膨らみ続ける日本の医療費をさらに増加させる危険性もないとは言えない。
重要なコンセプトは、
AIによって、いかに医療費を抑制できるのか?
AIによって、いかに医療労働環境を改善できるか?
つまり、
医療労働環境を改善し、
かつ国の医療費を抑制しながらも、
いかに医療施設で増収できるか?
である。
その意味で、やはり、Roy教授は、最先端を走っていると思うのである。
AIによって、日本でも、より良い医療従事者の環境が得られるはずである。
Office Uno Columnは、RotaGeekを応援します。


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