Y Uno
よくあることであるが、
医師は、自分の認識が患者やスタッフも同じ程度に共有していると思いがちである。
しかし、医師の常識が、患者やスタッフで通じない事は少なくない。
逆の立場から言うと、患者やスタッフの常識と、医師の常識と全く異なる。
胃カメラの現場での混乱は、「ピロリ菌陰性」という認識の違いである。
詳しく説明すると、
胃カメラの前の問診票で、「ピロリ菌検査はしていますか?」
に対して、「はい」となっていて、
「結果は陽性ですか?陰性ですか?」
その質問に「陰性」とチェックされる。
「ピロリ菌陰性」という問診票をみると、私は、『萎縮もないのだろう』
という、先入観で安心して胃カメラを行う。
実際に、そのような例では、萎縮もなく、RAC陽性で、
結果的に、「胃癌の心配は少ないですね」
と言う結果になる。
ある日、「ピロリ菌陰性」で、明らかな萎縮がある症例と出会う。
『おかしい!』と、思いながら、
検査を終了して、
患者に再確認した。
「ピロリ菌は陰性でしたか?」
「ええ、陰性って書いていました。」
と言って、ポケットから出したのが、
ABC検診結果であった。
その結果は、D判定!
確かに、ピロリ菌は陰性である。
患者は、それだけ聞かれたので、陰性とだけ答えたのである。
一番の問題は、ABC検診について、広く認識されていない事であろうが、
胃カメラを行う医師は、「どこで、どんな検査で、陰性でしたか?」
と、カメラの前に再確認しなければならないと、
強く感じた。
しかし、実際の現場は、さらに混乱している。
「ピロリ菌いないので、問題ないんとちゃいますか?」
「いえ、ピロリ菌がいた期間が問題なのです。」
「じゃあ、長い間、いる場合、除菌しても、意味ないんとちゃいますか?」
「そういう場合もありますが、効果がある場合もあります。」
「じゃあ、陰性で胃炎が残っている場合、もう一度、除菌すればいいんですか?」
「いや、ピロリ菌がいないので、除菌しても意味はありません。」
「じゃあ、胃炎は治らないんですか?」
「経過をみるしかありません。」
「よう、わからん話やな。」
「すみません。」
また、除菌した人では、
「除菌していますが、胃炎が残っています。」
「なんでやねん?」
「そういう場合もあります。」
「除菌したら、胃炎が良くなって、胃癌の心配がなくなるとちゃうんかい?」
「すみません。」


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