YUno
日本には、日本にしか通用しない日本の通説がある。その通説は、世界レベルでは通用しない。誤ったデータによる推察は、誤った結果をもたらす。そして、人々を不幸にする。
日本のネット記事で、「オナラの成分」を調べると、窒素が70%となっているものが多い、某大学の教授ですら、そう言っている。そして、皆、そう信じる。
空気の窒素量は78%なので、オナラには空気並の窒素があるということになる。
しかし、便秘や過敏性腸症候群で問題視している大腸ガスは主に、水素ガスとメタンガスである。二酸化炭素は腸管からの吸収が速いので、あまり問題にならない。
であるが、そもそも、オナラの窒素が70%もあるのであれば、わずか30%以下の量について、議論していることになる。それが増えても、減っても、大したことではない。
しかし、日本での「オナラが窒素70%」の根拠が見つからない。だれが、どのような実験で証明したのか?全く不明である。ある生物学者の本に掲載されているだけである。
私は、ある時期、約1000人以上の便秘患者を診察した結果、食物繊維の過剰摂取は大腸ガスの発生につながると結論したが、それは、臨床の経験からの話である。それだけでは、嘘くさいと思われる。
そこで、今回、低FODMAP食の根拠となった研究について、紹介する。
Tomlin J, Lowis C, Read NW.Investigation of
normal flatus production in healthy volunteers.Gut. 1991 Jun;32(6):665-9.
この研究では、完全に密閉されたチューブを用いて、オナラが集められた。
その結果が以下である。対象は10人の健常なボランティア。
メタンガス産生者は30%であるが、便秘ではその比率が上がることがわかっている。
そして、窒素が非常に多いのは10人中1人だけである。
全体的に、オナラでは水素ガスがい多いことがわかる。
この研究では、食物繊維をゼロとした食事を与えた結果が出ている。
食物繊維をゼロにすると、大幅に水素が減少して、オナラ総量も減少したのである。
オナラの量は1回平均90mlで、食物繊維のない食事によって1日オナラ2回(200ml)に抑制できると記している。
また、研究者は、水素ガスの増加は発酵性炭水化物の影響があることを記している。これは、まさに、低FODMAP食の基本的概念にほかならない。
そして、この事実と私の経験から、日本低FODMAP食推進会では、高FODMAPのみならず、食物繊維を制限するように決定したのである。
さらに、この論文の著者は、「水素負荷試験での早期の水素ガス上昇」は、検査前に消化しきれずに、残留した炭水化物が負荷試験によって大腸に移動し、発酵するためだと記している。現在、小腸菌増殖症SIBOの呼気水素テストは、負荷後の早期水素ガス増加を診断根拠としているが、それが間違いであることが示唆される。

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