胃炎の京都分類では胃底腺ポリープはピロリ菌が陰性、あるいはピロリ菌を除菌した後にみられ、発がんとは無関係のように記されている。

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(出典:胃炎の京都分類、日本メディカルセンター、26頁を参考に作成)


これは、ほとんど全ての胃がんがピロリ菌感染によるというコンセプトからは矛盾しない。

 

そのため、京都分類に基づいた施設では、

「ポリープはありましたが、胃底腺ポリープなので、ピロリ菌がいない証拠です。このポリープは癌になりません」と説明しているのではないか?

私自身も、そう説明していた。

 

ところが、

2016年、日本の大分赤十字病院からピロリ菌陰性の胃底腺ポリープに癌がみられた2例が報告された。

 

Two cases of adenocarcinoma occurring in sporadic fundic gland polyps observed by magnifying endoscopy with narrow band imaging. World J Gastroenterol. 2016 Oct 28;22(40):9028-9034.

 

それはきっと、大腸ポリープのようにサイズが大きくなって癌化するのではないかと思ったが、よく調べてみると、驚くことに、3mmと4mmの大きさであった。

特徴は、他の胃底腺ポリープと異なり、赤いということであった。両者ともに60歳代で、胃体上部の高分化腺癌であった。


これまで胃底腺ポリープは、100個以上多発する家族性大腸腺腫症による胃底腺ポリポーシスでは発癌の危険性があるという認識で、それ以外ではピロリ菌陰性の指標であり、良い印のように考えられていた。しかし、最近、除菌後に出現したり、また、PPIの長期使用でも発生し、増大する事もわかってきた。


ピロリ菌の除菌後は、胃酸が増加して、逆流性食道炎を来すことが少なくないが、その場合にはPPIが使用される。つまり、今後、日本では、胃底腺ポリープが増加すると予想されるが、それは必ずしも癌化しないという訳ではなく、ひとつの施設であっても、複数の症例で癌が認められる可能性を示唆している。

また、この症例報告は、ピロリ菌陰性であっても、胃がん検診を受けるべきであろうと言える根拠でもある。