現在の内視鏡は、左手で操作部(control head)を握る。
その握り方には歴史的変遷がある。
まず、1800年代の直接的に見る時代では、
文献では右手で操作しているようであるが、操作部の握り方は特に決まりはなかったようである。

その後、先端にカメラのついた「胃カメラ」が誕生してから、
主に操作部を握るのは左手になった。

右手は挿入とアングル操作にあてられた。
直接見えない「胃カメラ」では、顔(目)に操作部を位置させる必要はなかった。
しかし、直接見ることのできる柔軟なファイバースコープが登場してから、
操作部は立てて、顔(目)に接しなければならなかった。

1980年代には、国内では、正面視できない十二指腸ファイバースコープが流行し、
その挿入時には、咽頭や食道を観察しない時期があった。
その頃は(現在でも側視鏡でそうであるように)、盲目的に、
「喉に来たらゴックンしてください」と挿入していた。
その後、やはり、直視鏡で食道を観察すべきということから、
その中間の斜視鏡まで登場した時代もあった。
さらに、1980年代から電子スコープ(ビデオスコープ)が開発された。
それが普及するにつれ、口から内視鏡を挿入する際に、咽頭を観察し、
直接観察しながら、食道入口部に挿入することがスタンダードになった。
電子スコープの登場によって、大きな変革が起きた。
それは、操作部を顔に近づける必要がなくなったことである。

しかし、内視鏡全体のデザインは、顔に近づける内視鏡とほとんど変化がなかった。
さて、経鼻内視鏡では、本来、食道鏡の開発の時代のように、
被験者を仰臥位として、術者が頭側に立ち、スコープを挿入するのが、
理想的である。
内視鏡の操作部を立てると、アップと画面のアップが一致するからである。
しかし、その体位では、胃内観察がしにくいことから、
始めから左側臥位で行われることのが主流である。
その場合には、操作部を横にする必要がある。(操作部面とアップダウン面の一致)
操作部を立てるとアップでは、右に先端部が動くからである。

つまり、鼻腔から食導入口部での挿入時の操作部の持ち方は、
広目天の左手が理想的である

広目天の左手のまま、スコープに回転を加えない状態では、
食道内でアップ操作で近接する部位は、前壁である。
食道内で、スコープ操作部を立てた場合には、アップで近接するのは右側壁である。
胃の中に入ってからは、スコープ操作部を立てると自然に胃内の挿入先が見えてくる。

そして、スコープに右回転させなから、十二指腸へ進んでゆく。
写真の出典: Irvin M. Modline. A Brief History of Endoscopy.(米国消化器内視鏡学会配布資料)
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