2017
年:SIBOIBS:新しい知見

 

SIBO:小腸菌増殖症
IBS:過敏性腸症候群



韓国の消化器病学会雑誌(GUT and LIVER)において、
インド大学のIBSとSIBOの権威者
Ghoshal UC教授によるSIBOについての総説が掲載された。

 

 

Small Intestinal Bacterial Overgrowth and Irritable Bowel Syndrome: A Bridge between Functional Organic Dichotomy.

Ghoshal UC, Shukla R, Ghoshal U.

Gut Liver. 2017 Mar 15;11(2):196-208.


Uday C Ghoshal、MD、DNB、DM、FACG

http://www.romecriteria.org/global_perspective/faculty/ghoshal.cfm

 

人口13億人のインドのなかで、消化器病学の権威者であり、その影響力は非常に大きい。


その論文のなかで、興味深い文章を紹介する。

 

IBSのパラダイムシフト

以前、ストレスと考えられていた消化性潰瘍はピロリ菌の感染によるとわかった後にパラダイムシフトが生じたように、心理的要因が大きいとされていた過敏性腸症候群(IBS)もSIBOとの関係によって、パラダイムシフトが起こっている。

 
SIBO図1
(統計学的に有意にIBSでSIBOが多い)

SIBOは女性、高齢者、腹部手術既往と関係がある。

 

2012年の研究では、SIBOと関連する菌は以下であった。

Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)Escherichia coli(大腸菌)Acenetobacter lwoffii(アシネトバクター)Staphylococcus species(ブドウ球菌)Klebsiella pneumoniae(肺炎桿菌)Streptococcus species(レンサ球菌)Acinetobacter baumanniiEnterococcus faecalis(フェカリス菌), and Enterococcus faecium

 

 

低FODMAP食は、SIBOを伴うIBSに有効である。

 

 

多変量解析では、菜食主義者はIBSの危険因子であることが判明した。

 

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<コメント>

胃潰瘍、十二指腸潰瘍のパラダイムシフトというのは、1980年代まで、潰瘍はストレスで生じるとされていた。実際に、1981年の教科書には以下のように記されていた。

1図1

それが、ピロリ菌の発見と、その作用の解明によって、
ストレス説がメインではないことが明らかになったのである。
(この図は、今のIBSのストレス説と酷似していることに注目したい。)
そして、著者は消化性潰瘍でのピロリ菌に相当するIBSでのパラダイムシフトの要因について、
SIBOを考慮している。つまり、本来、菌数の少ない小腸での菌の繁殖がIBSの主たる原因の可能性を提示している。ピロリ菌のように限定された菌による影響ではなく、菌数の増加によってもたらされる悪影響とみなした考えである。
The pathogenesis of irritable bowel syndrome (IBS), once thought to be largely psychogenic in origin, is now understood to be multifactorial. One of the reasons for this paradigm shift is the realization that gut dysbiosis, including small intestinal bacterial overgrowth (SIBO), causes IBS symptoms.
以前は主に心因性であると考えられていた過敏性腸症候群(IBS)の病因は、多因子性であると理解されている。 このパラダイムシフトの理由の1つは、小腸細菌過増殖(SIBO)を含む消化不良がIBS症状を引き起こすという認識である

 

さらに、気になるのが、

SIBOの原因菌として、フェカリス菌が同定されたことである。

日本では、フェカリス菌は整腸作用やアレルギー予防に有効な健康に良い菌として広告されているが、SIBOとの関係が記されたのである。

<文献>

Ghoshal UC, Srivastava D, Ghoshal U, Misra A. Breath tests in the diagnosis of small intestinal bacterial overgrowth in patients with irritable bowel syndrome in comparison with quantitative upper gut aspirate culture. Eur J Gastroenterol Hepatol. 2014;26:753–760.

 

さらに、驚くべきは、菜食主義者にIBSが多いということである。食物繊維の摂取過剰によるネガティブ作用である。

<文献>

Ghoshal UC, Singh R. Frequency and risk factors of functional gastro-intestinal disorders in a rural Indian population. J Gastroenterol Hepatol. Epub 2016 Jun 5.https://doi.org/10.1111/jgh.13465.



この論文から導かれるのは、

現在日本で健康に良いとされる「食物繊維+発酵食品+何らかの乳酸菌」

SIBOによるIBSを増加させるということである。

私が思うのは、

このような全く異なった説を世界的権威者が記していることを日本国民が認識すべきということである。

さらに、

それを善として推進するならば、この著者らに対して、真正面から議論を挑み、それを否定する証拠を提示することの必要性である。

飲んだ菌が大腸に直接届くのであれば、SIBOとの直接的な関係はなかろう。
しかし、飲んだ菌が小腸で増殖するとSIBOと関係してもおかしくはない。
「腸まで届く」・・・その腸とは?大腸?小腸?