英国発:低FODMAP食は炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)の症状を改善する

 
Y Uno



私の著書「過敏性腸症候群の低フォドマップ食」の39頁にも記したが、

そもそも低FODMAP食は、クローン病に有効ではないかと考えられたことからスタートしたという経緯がある。その後、過敏性腸症候群での有用性が確定しましたが、英国から2013年に炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)での症状改善が報告された(43-44頁)。

そのため、私は、日本で炎症性腸疾患に対して糞便移植を視診している著明な教授に、「糞便移植+低FODMAP食」を提言したことがある。

 

そして、20175月に、さらに詳細な報告が公開された。

その論文は以下である。

 

J Crohns Colitis. 2017 May 19. doi: 10.1093/ecco-jcc/jjx073. [Epub ahead of print]

Fermentable carbohydrates (FODMAPs) exacerbate functional gastrointestinal symptoms in patients with inflammatory bowel disease: a randomised, double-blind, placebo-controlled, cross-over, re-challenge trial.

Cox SR1Prince AC1,2Myers CE1,3Irving PM1,4Lindsay JO5,6Lomer MC1,4Whelan K1.

Author information

1: King's College London, Diabetes and Nutritional Sciences Division, London, UK.

2: King's College Hospital NHS Foundation Trust, Department of Nutrition and Dietetics, London, UK.

3 Royal Surrey County Hospital NHS Trust, Department of Nutrition and Dietetics, Surrey, UK.

4: Guy's and St Thomas NHS Foundation Trust, Department of Gastroenterology, London, UK.

5: Barts Health NHS Trust, Department of Gastroenterology, The Royal London Hospital, London, UK.

6: Queen Mary University of London, Blizard Institute, London, UK.

 

簡単にまとめます。

 

これまでの研究では、発酵性炭水化物の制限は、寛解期の炎症性腸疾患(IBD)において機能的な胃腸症状(FGS)を改善する可能性があることを示唆している。私たちの目的は、無作為化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー、再チャレンジ試験を用いて発酵性炭水化物が寛解期のIBDにおいてFGSを悪化させるかどうかを調査した。

研究対象者:12人のクローン病、17人の潰瘍性大腸炎

研究方法:対象者に対し、盲検法で、3日間、高FODMAP食とプラセボを振り分けて与えた。

FODMAP食は、フルクタン12g /;ガラクトオリゴ糖6g / ;ソルビトール6g / 日であり、プラセボはグルコース12g /日であった。

結果:高FODMAP食はプラセボに比して、鼓腸や排便異常を悪化させた。それは特にフルクタンが影響していた。

 

以上であるが、フルクタンで問題になるのはイヌリンである(著書の73頁)。

イヌリンは乳酸桿菌やビフィズス菌によって発酵し、二酸化炭素とメタンを発生する。イヌリンは小麦に含まれるが、日本人が摂取する小麦は1日平均100gで、フルクタンは最大4gである(著書の75頁)。

つまり、パンとパスタ(ラーメン、うどん)を中心にして、さらにイヌリンの多い食品を一緒に食べているとクローン病や潰瘍性大腸炎の症状が悪化する可能性が高いということになる。


(なお、スペルト小麦パンは、通常の小麦粉パンの10分の1のイヌリン量なので、症状は来しにくい)


 

クローン病や潰瘍性大腸炎では、低FODMAP食にすべきである。

 

これは、単に私が想像で言っていることでなく、

ノーベル賞12人を輩出し、世界ランキング(2016-2017)21位(東大34位)からの報告の結論なのである。