日本低フォドマップ食推進会:宇野



Rome
: IBS診断基準の特徴

 

メキシコ大学と米国ノースカロライナ州大の医師によるRomeⅣの解説論文が報告された。

 

What Is New in Rome IV

Journal of Neurogastroenterology and Motility 2017; 232):   151-163 https://doi.org/10.5056/jnm16214

 

これまでの基準をみると、Rome Iでは、機能性便秘、機能性下痢とIBSは区別されていたが、Rome Ⅱでは、それらが重複すると考えられた。
 

 111図1
(出典論文を参考に作成)
 

そして、Rome Ⅳでは、腹痛があるかないかによって機能性便秘、機能性下痢とIBSが区別されるようになった。

222図1

そして、これについて、機能性便秘と便秘型IBS、機能性下痢と下痢型IBSはそれぞれ連続性があると考えていると論文で述べられた。

そして、Rome Ⅲの診断基準に含まれていた「腹部不快」は、Rome Ⅳで削除され、唯一「腹痛があること」がIBSの前提となった。また、Rome Ⅲにあった「発症時の便性状の異常」は、腹部不快を削除したことによって、かならずしも腹痛時に便性状の変化がないことも存在することから、「発症時の便性状の異常」も削除された。

 

 さて、機能性下痢、機能性便秘は、腹痛がないのでIBSと比較して、良い状況なのであろうか?考えてみよう。
 

Are constipation and diarrhea without abdominal pain better?

確かに、下痢や便秘はあるが腹痛がなければ、症状的に楽である。

しかし、人間にとって痛みとは、生体防御、生命継続のための重要な感覚でもある。たとえば、生来、痛みを感じなく生まれた無痛症では、傷の痛みも感じないために感染が重篤化する。同じように、腹痛のない下痢や便秘は、放置されることによって大腸に悪影響を及ぼす可能性はないのか?

 

Risk of treatment masking abdominal pain

IBSの腹痛は、炎症性(感染性腸炎など)やアレルギー性(アニサキスなど)の腹痛ではなく、腸内圧の上昇とそれに対する感受性によって決定される。腸内圧が上がっても感受性が衰退していれば腹痛は生じない。あるいは、便秘であっても伸びきった腸(巨大結腸)では、管腔内の圧力が上昇しにくいために腹痛を生じないことも少なくない。このような腹痛を伴わない慢性便秘では、大腸内に糞便が詰まって死亡した例も報告されている。

 

Is the treatment weakening hypersensitivity correct?

そのため、私は、単にIBSで腹痛だけを軽減させるような治療には疑問を持っている。しかるに、感受性を弱めるためだけの治療が流行しているという現実がある。感受性(Hypersensitivity)については脳腸相関(Brain-gut interaction)が重要な原因と考えられているが、単にその問題解決では、根本的な改善につながらないばかりか、腹痛をマスクする治療によって、腸内の異常だけを残す結果にならないか?と、私は危惧している。

そのため、そもそも腸内圧を高めない治療である低フォドマップ食を推進しているのである。