本日、ベルヌーイ定理の第二論文が出版されました。


Splinger図1


Management of colon stents based on Bernoulli’s principle
https://link.springer.com/article/10.1007/s12664-017-0734-8


大腸癌で内腔が閉塞状態にある場合に、その口側の腸壁に虚血性変化を来して、

閉塞性腸炎という炎症を引き起こします。

しかし、その場合であっても、癌のすぐ手前では 虚血性変化がないことがあります。

単に、ラプラスの法則で、癌による閉塞によって管腔の圧が上昇するだけであれば、

この現象は説明できません。ラプラスの法則では均一に圧力が加わるはずだからです。

私は、この疑問をベルヌーイ定理によって圧が上昇し、

さらに癌の手前の正常な部分は、流動力学によるエネルギーの損失と考察しました。


この論文の主題は、大腸ステントです。

大腸癌によって閉塞を来して、腸閉塞を生じている場合、

すぐに手術をすると、閉塞性腸炎などによって、

縫合不全を生じて手術予後が悪くなることがあるため、

すぐに手術をするのではなく、

最近では、一旦、金網の筒状のステントを挿入し、

閉塞部を広げて、閉塞性腸炎を予防し、(閉塞性腸炎がある場合には軽快させて)、

その後に、手術で大腸癌を切除する「bridge to surgery」が行われるようになりました。

 しかし、この場合でも、閉塞性腸炎を来すことがあります。

詳しく調べてみると、ステントを行っても閉塞性腸炎を生じる場合では、

直径10㎜以下の細い内視鏡しか ステント内を通過できないということがわかりました。

つまり、 完全閉塞でなくとも、管腔内が狭い場合には、閉塞性腸炎が生じていることがわかりました。

そして、

その細い管腔によって生じる手前の管腔(閉塞性腸炎を生じる部位)の圧力を計算した結果、

従来の実験で虚血を生じるとされる圧力に至ることを証明しました。

 
一方、虚血性腸炎は、大腸癌がない人に生じます。

そのような虚血性腸炎は、主に脱水によって腸管の血流が悪くなるためと考えられています。

しかし、私は、今回の結果から、

虚血性腸炎は管腔の異常な拡張と収縮による圧の変化によるものと考え始めました。

なぜなら、虚血性腸炎の発生する場所は、下行結腸の脾彎曲部だからです。

腸管収縮による生理的収縮は、主にS状結腸から下行結腸の移行部に生じる。

そのため、 下行結腸の脾彎曲部には高圧が生じやすい。



さらに、下剤で虚血性腸炎を生じる場合があるが、その下剤での圧力変動も、

同様であると考えられます。これについては、第4弾の論文で記述しましたが、

未だにアクセプトされていません。