2017年4月7日 

 

低フォドマップ食への質問:便秘と下痢を繰り返す症例

 

 

日本低フォドマップ推進会:宇野

 

 

以下の質問が来たので、お答えします。

 

なお、重要な個所は、こちらでマーキングしました。

 

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<質問>

 

63歳女性です。よろしくお願いします。

IBSと診断されたことはありませんが、中学生の頃から
長く便秘をして下痢になる、という暮らしが長く
大学の頃は外出中の食事を少な目にしていました。
尚、小学生の時盲腸を取っています。

便秘か下痢かの暮らしは定着していたので、あまり不便を感じませんでした。
以前は食べてすぐ下痢してその後下痢の痛みは続かず、便秘生活に戻るというものでしたが
ここ数年痛みが以前とは違い、強く腸を引っ張られる、つる感じになり
フォドマップを開始する頃は、体を曲げて痛みを我慢するほどになったのです。
食べると痛みが出るので、1年ほど朝食なしの2食です。

痛みは左下腹が多い気もしますが、肋骨の下あたりの上腹部や、へそ脇の両側と
広範囲の時も多くあります。
下痢は月3,4回なのですが、以前は次の下痢まで落ち着いた腹状態だったのが
フォドマップを始める直前は毎食後下痢はしなくても強く引っ張られるようなつるな痛みが出るようになっていました。
ガスに関しては腹が膨れる感じはありませんが
結構出ていた気がします。臭いは強くありません。(外出で不便を感じるほどではありません)

先生の本とブログを参考に低フォドマップを始めて6週間になりました。
5分ツキ米、大根と人参、鳥モモ肉の塩味のみのすまし汁、野菜はレタス、ホウレン草青梗菜、ピーマン、小松菜、白菜、長ネギの青い部分くらいで、あとは魚、卵、肉です。
酒、果物、おやつ、外食なしです。

結果、
6週間下痢なしになりました。
長期の下痢なしは1年3か月ぶりです。

さて質問なのですが、ここからチャレンジ期に突入してよいのでしょうか。
といいますのは、今のところ下痢はなく落ち着いていてとてもうれしいのですが
腹つりの痛みは全快ではありません。
以前のひどい時に比べると、頻度が2,3割残っているという感じ、
痛みの大きさは、ひどい時から比べると、やはり2,3割に減ってはいますが
食べていない時も感じることがあります。


全快というまではいかないこの状態で、チャレンジ期にしてよいでしょうか。
もともと牛乳は飲むと下痢をするので乳製品にはあまり未練はありませんが
玉ねぎ、にんにくなどは加工品にかなりの頻度で入っているのでチャレンジしてみたい気はしますが
まだ引っ張られる腹痛があるうちは完璧に近い食事のほうがいいのでしょうか。

もう1つの質問は
下痢には変化がありましたが、便秘は変化がありません。
週に1回くらいです。そうした暮らしが長いため慣れてしまっていて、薬などで出したくないのですが
低フォドマップ食が便秘には効果が出ていないのでしょうか。

よろしくお願いします。

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2017年4月7日
 

<回答>
 

文面から、本を購入して頂いたようなので、お礼を申し上げます。

さて、質問は、ふたつで、

不完全だが、チャレンジ期に入っていいのか?

便秘での低フォドマップ食の効果について

ですが、

答から述べると、便秘では6週間は短いので、もう少し、継続して欲しいということになります。

理由を説明します。

豪州、欧米では低FODMAP食は、主に過敏性腸症候群の下痢型に有効であり、便秘型には下痢型よりも効果がないとされています。日本消化器病学会のガイドラインでも、そのように判断されています。

何故かというと、高FODMAPでは、浸透圧のために腸内に液体が増加し、その液体増加によって、大腸内を通過する速度が増加するために下痢をするので、下痢型で高FODMAPを控えるとすぐに改善するからです。

しかし、過敏性腸症候群には、便秘型と便秘と下痢を繰り返す混合型があります。それらには、水分だけではなく、ガスが影響しています。

そのガスは、高FODMAPが発酵して生じるガスですが、発酵するには食後数時間かかるので、もともとの大腸の通過時間がどれほどなのか?で、いろいろなバリエーションをつくりだします。また、ガスは水分よりも通過時間が遅いので、ガスが存在するだけで、便秘が悪化します。

相談者の場合は、もともと、通過時間が遅いタイプの便秘の傾向があって、さらに高FODMAPで、時々下痢を来し、さらに、ガスによって腸管が横に伸びて、伸びた風船のようにガスが常に溜まるようになって、わずかなガスの増加でも引きつれを感じるようになった可能性があります。また、慢性的に腸が拡張していれば、さほど痛みを感じなくなり、横への腸の広がりが、縦軸方向への力へ作用して、虫垂炎や婦人科手術で腸に癒着がある人などは、癒着のある部分で痛みを来すことがあります。

便秘型や混合型の過敏性腸症候群であっても、腸がさほど伸びていない場合では低フォドマップでガス産生を抑制すれば、6週間でも便秘が改善する場合もありますが、相談者のように長い間、主に便秘がメインであれば、6週間では改善しにくいと思われます。一旦、伸びた大腸は、引き締まらないのではないか?と私自身も昔は考えていましたが、便秘外来で1000人以上を治療した経験では、便通が改善して、2年で驚くほどに腸が引き締まった症例(本の117頁)を多数経験しております。その理由は、大腸の粘膜や筋の細胞は死と再生を繰り返しますが、粘膜の細胞は高圧が続くと、どんどん数が増え伸びてゆきます。太った人が、皮膚が伸びるのと同じです。そして、ダイエットして痩せても伸びた皮膚が伸びたままであるように、大腸の粘膜のサイズもすぐには正常化しません。しかし、大腸では皮膚と違って、圧力をかけないでいると、次第にその本来のサイズに大腸が収縮してきます。つまり、低フォドマップ食は、便秘にも有効であるが、時間がかかるということです。

 文面からは、ガス症状も6週間で23割減ったとのことなので、可能であれば、さらに6週間続けて欲しいと思います。

また、腸のサイズをスリム化するには多くの食物繊維を摂取しないようにしてください。ご飯も5分つきではなく、白米の方がいいでしょう。(便秘の人では、腸内で食物繊維が留まって、発酵してガスの原因になります。)

そして、もともと便秘がベースにあるようなので、市販薬であれば、酸化マグネシウムを併用してもよかろうと思います。(水分を増やして、腸内速度を上げるため)

また、このようガスによる痛みを有する便秘では、腸蠕動を高める刺激性の下剤では高圧によって虚血性腸炎を来す可能性があるので、避けた方がいいでしょう。

以上から、さらに、6週間延長して、酸化マグネシウムを併用して、ある程度、便秘を改善してからチャレンジ期に移行してください。
私自身、水分だけでの生活を41日継続したことがあるので、大丈夫です。
そう、水分は多めにとって下さい。
そして、便秘に対しては、朝食は大事です。水分多めの朝食は必ず摂取してください。
朝食の時間は、目覚めてボーとしている時間帯がベストです。
 

それでは、お大事に・・・・

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2017年4月8日
 
 

<相談者からの返信>

 

丁寧なご回答、本当にありがとうございます。
5分ツキ米は健康のために食べていたのですが
何年か前に玄米を食べて、便が異常に固くなってしまったので、5分ツキに変更したのですが
さらに白米に戻し、朝食を再開してあと6週間延長して頑張ってみます。

また、酸化マグネシウムを飲むように、とご指導いただきましたが
この薬を飲み続ける事によって下剤依存というのでしょうか、
自力で排便できなくなるとか、薬を増量しないとだんだん効かなくなってしまうという事はありませんか。

それと、毎日薬を飲んで出すことを基本にした方がいいのでしょうか。
便秘が普通生活のだったので、3日に1回でも快調のような気になってしまうのですが・・・
どうぞよろしくお願いいたします。

 

<回答>

 

下剤中毒というのは、刺激性下剤(センナ、ビザコジルなど)によって生じます。刺激性下剤では、効果がだんだん弱くなるので、増量が必要になります。そして中毒になっていきます。酸化マグネシウムでは、水分量が増加することと、水分比重が高くなることから腸内の移動速度が増加する作用なので、直接、腸管に対して影響は少なく、刺激性下剤中毒のようにはなりません。

FODMAPで下痢をすることから考えれば、水分量を増やすと便通が良くなるケースだと考えられます。(ですが、高FODMAPではガスも増加することが、悪影響を与えているので、水分だけを増やす方法として、酸化マグネシウムを提案したわけです。)

根本的に、食事の食物繊維量が多くない場合は、3日に1回でもいいのですが、それ以上であれば、大腸のスリム化に影響するので、3日に一度はキープした方がいいでしょう。