2017年3月5日
ぬか漬け:読者コメントと返信
<コメント>
はじめてコメントいたします。私はぜんぜん専門外の分野ですが、5年ほど前に過敏性腸症候群のような症状をきたしたことがあり、それで、興味を持ち、宇野先生のコラムをよく見させてもらっています。
私の場合、グルテン不耐症だったようで、グルテンフリーの食事に変えたところ、IBSの症状は消えました。ありがたいことです。これもネットでいろいろ検索していて偶然見つけたことです。ブレインフォグや疲労感などの不定愁訴も同時にほとんどなくなりました。
そんなこともあり、腸内環境に関することは、先生のコラムも含めて、ネットなどで、ちょくちょく調べています。それで、単に食材としても魅力的だったぬか漬けを半年前ぐらいから自分で作って食べています。
結果、さらに腸の調子が良くなっていると実感しています。大便の質がとても良くなりました。以前は、大便を排せつ後に直腸内に少し便が残ることがあり、トイレットペーバーでなかなか拭き取れないことがしばしばありましたが、今はまったくなくなりました。直腸内の大便が排せつ後にすべてなくなっているのが実感としてわかります。ペーバーで肛門をふき取るのもすぐに終わります。
ぬか漬けの何が作用しているのか。いわゆる植物性乳酸菌なのか、米糠に含まれるビタミンB1の作用か、ぬかに漬けた野菜が乳酸菌の作用によって細胞壁がやわらかくなって、それが影響しているのか?
そのへんはよくわかりません。
IBSは、各人によって効果がある治療法は異なるとは思いますが、私の場合の体験を書きました。参考になればうれしいです。
それでは、論文執筆、がんぱってください。陰ながら応援しています。
<返信>
有難うございます。
初段落の話では、グルテン過敏症か、イヌリン不耐症であった可能性が考えられます。
というのは、グルテンフリー食では、蛋白質のグルテンだけを排除しているのではなく、糖質のイヌリンも排除されていることがほとんどだからです。
その後の、「ぬか漬け」の話については、正直に言って、よくわかりません。
基本的に私の考えは、「成人では、あえて過剰に乳酸菌を増やす必要はない」という考えです。
その根本には、「乳酸菌を増やして赤ちゃんのような便にしましょう」という考え自体が、科学的に合理性に欠けるものだからです。赤ちゃんは何時便をしてもいい状況にあります。ですから、そのような状況でない成人にそれを適応させることに疑問があります。加齢とともに腸内の乳酸菌が減少するということも、それであっても、日本人は世界的にみて長寿なのです。ぬか漬けに関しては、昔の人が、健康まで考えて開発されたものではないと考えます。冷蔵庫のなかった時代では、とにかく、食品を長持ちさせるために工夫されたと思います。風味とか、味とか、健康とかではなく、とにかく、長持ちさせる保存食が必要だった。その工夫の上でぬか漬けが誕生したと思うのです。さらに、日本食は健康的なのか?という疑問もあります。とくに、排便に関して、日本食がいいのか?疑問があります。明治時代のデータでは、日本は大量の大黄を中国などから輸入していました。つまり、日本人の食事は本来、便秘になりやすい食事だったのではないか?と思われます。
応援してくださる人に対して、御期待にそえない返信で申しわけございません。
御自身が食べて、非常にいいと思っている食品は、それでいいでしょう。しかし、話からは、若干下痢傾向に傾いている可能性があるので、長期経過で有用かどうかを見極める必要はあるでしょう。
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<返信に対してのコメント>
2017年3月5日
宇野先生、さっそくの返信ありがとうございます。
>応援してくださる人に対して、御期待にそえない返信で申しわけございません。
いえいえ、先生がプレバイオティクスやプロバイオティクスに関して、懐疑的であることは、このコラムを読んで知っておりますので、想定内です(笑)。
>初段落の話では、グルテン過敏症か、イヌリン不耐症であった可能性が考えられます。
イヌリンというよりか正確にはフルクタンということでしょうか。ウィキペディアで調べましたが、アスパラガス、玉ねぎ、チョコレートなどに多く含まれると書いてありました。チョコレートは小麦を使ってない甘いお菓子なので、仕事中に数粒食べています。今度、玉ねぎを食べ続けてどうなるか試してみようと思います。
>しかし、話からは、若干下痢傾向に傾いている可能性があるので、・・・
これは逆で、ぬか漬けを常食するようになってから、軟便傾向が改善されて、1本グソに近い適度な硬さの便になりました。いずれにせよ、5年10年と続けてどうなるかはわかりませんので、経過を見ていきたいと思います。
宇野先生のベルヌーイの定理による腸の収縮・拡張運動という仮説は、とても面白いと思います。神経による作用ではなく物理的な圧力差が大腸の運動を促すという考え方。
ただ、人は腐敗した食物など、人体に害があるものを食すると嘔吐したり激しい下痢をしますが、そのときは神経による作用ということになるのか、という疑問がうかびました。
なにか、まとまりのないコメントになりましたが、改めて、お返事ありがとうございました。
<それに対する宇野の返信>
★イヌリン:小麦粉のフルクタンのことです。フルクタンにはイヌリンの他にレバン、グレミナンがあり、除去対象はイヌリンです。
★チョコレート:チョコレート自体がIBSによくないという人もいますが、含有される乳糖に気をつけねばなりません。タマネギ:玉ネギは戦後に日本で多く摂取されるようになったので、日本人では不耐症の頻度が高い可能性があります。
★ぬか漬けと便性状:経過観察が必要だと思います。
★★★ベルヌーイ定理の応用:嘔吐や下痢は迷走神経反射の影響がありますが、迷走神経を刺激するのが、化学物質なのか、物理的因子なのか?きっと両者なのでしょうが、重要なのは、腸管壁に分布している神経叢は圧力センサーであるにもかかわらず、消化管運動に対して圧力変動因子が十分に考慮されていなかったことです。その解明のために、思い切って、これまでの説を完全否定して100%であるという考察を立てて、ディベートするという方法を選択しました。結果的には「そのような影響も関与しているであろう」という、学会の司会者の発言のように曖昧な結果になるとしても、そこまでに至るには、つまり、数%の影響を与えるには、100%で議論する人の存在が必要だと考えたのです。どういう運命なのか、人類史上、初めてベルヌーイ定理を消化管運動に適応すべきと論文で公開したので、結果はわかっていても、100%で議論する「狂人」にならねばならないと決め、それを今年の年頭所感で記しました。

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