低フォドマップ食は、過敏性腸症候群の症状を改善することは、

国際的コンセンサスです。

これは、乳糖、果糖、フルクタン、糖アルコールなどの高FODMAPが、

小腸で高浸透圧性の水分増加を来して、

さらに、大腸で発酵することにより、ガスが増加するためです。

水とガスが増加することによって、大腸に悪影響を及ぼして、

過敏性腸症候群の症状を引き起こす。

そのため、それを控える(排除する)低FODMAP食の有効性について、

過敏性腸症候群の患者で試験され、世界中で有用性が確かめられています。

そして、その低FODMAP食について、世界中の栄養士が勉強して患者さん指導しています。

これまでの私の活動は、日本独特の高FODMAPを選定して、

日本独自の低フォドマップ食を考えることでした。

そして、その作業はある程度目途がついたのですが、

この食事療法が、なぜ、有効なのか?

常に考えてきました。

これまで、その機序は、「ガスと水分が増加するから症状が出る」

とだけ説明されてきていますが、

しつこく、ひねくれた性格の私にとって、完全に納得することが出来なかったのは、

「ガスと水分が増加する」と何故、症状がでるのか?ということです。

それに対して、世界中の研究者は何も考えていないことが不満でした。

そして、最近、出た研究報告では、同じようにガスが増えても、過敏性腸症候群でない人では、

症状がでないため、過敏性腸症候群では、内蔵過敏症(腸過敏症)がベースにあるのではないか?

ということくらいです。

じゃあ、内蔵過敏症を来すこととガス増加の関係はどうなのか?

ということについては、腸内フローラが関係している可能性が指摘されているだけです。



なぜ、過敏性腸症候群では、ガスや水分の増加に対して過敏に反応して症状が出るのか?


この問題の解決のために、私が取り組んできたのは、その物理学的法則による影響です。

まず、初めに考えたのは、ラプラスの法則ですが、

これは、完全に閉塞した腸管でなければ、適応できないと判断しました。

ラプラスの法則は、癌などで大腸が完全に閉塞した状況で、

最も広がりやすい部位が破裂(穿孔)するという理論には適応できます。

これは正しいでしょう。

しかし、ラプラスの法則は、大腸憩室の発生の機序としても適応されていました。

調べると、大腸憩室の発生には、

収縮によって完全に両端が閉塞する大腸で起こるという1970年代の理論が適応されていました。

しかし、そのような、つまり、両端が完全に閉じるような大腸の動きは、

実際の人間の大腸では起こりえないのであって、

他の理由があると考えました。

つまり、この誤った理論が、問題の解決のヒントでした。

そして、拡張と狭窄を繰り返す管のなかを流れる際の物理法則を考えた時に、

ベルヌーイの法則で考えるべきだと思いました。

管腔が広いところで圧力が増し、狭いところで圧力が低下するという法則です。

しかし、ベルヌーイの法則を適応する上での問題は、

土管の中を流れる水圧を計算するベルヌーイの法則が適応できるのか?

つまり、腸管を流れる流体が土管のようなスピードで流れるのか?

という問題でした。

確かに、生体内では、血管の流れをベルヌーイの法則で説明できるが、

腸管に応用できるのか?という疑問でした。

一方、大腸の運動は総時間での移動量は非常に少ない、

けれども、大腸は、ほとんど動いていない状況から、1日1,2回しか起こらない大蠕動で、

短時間で内容を移動させるのです。

大蠕動でも、止まった状態から、急激に急速に動くという動きを繰り返します。

 


https://www.youtube.com/watch?v=U5Cwgr5jxM8

 

私の経験では、大蠕動での腸管内の流体の流れは、排便時の流体の動きに類似しています。





つまり、この大蠕動の状況はベルヌーイの法則を適応できると考えました。

では、狭窄と拡張のある大腸で、どれくらい圧力が上がるのか?

計算すると、ベルヌ―イの法則は、腸管で適応しても矛盾はない結果が得られ、

さらに血流障害との関係もわかってきました。


そして、その序章としての論文を書き、現在、英文校正中です。




とにかく、食べた数時間後に、腸が運動会のような状態になるような高フォドマップを食べずに、

腸を安静にさせる低フォドマップ食にすべきなのです。


概念的な「腸の調子をととのえる」ではなく、

「腸を安静にする」ことが大事なのです。