大腸憩室症で症状が出る理由
大腸憩室があっても、全く症状のない人がいる。
そして、大腸憩室があって、過敏性腸症候群と同様な腹部症状を生じる人がいる。
その違いをオランダの論文から考察する。
この論文の著者は、大腸の壁の伸び(コンプライアンス)は影響していないと結論しているが、データを分析すると、そうではない。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1774033/
Gut. 2004 May;53(5):717-22.
Colorectal visceral perception in
diverticular disease.
これらの症例は全てS状結腸である。
まず、無症候性の大腸憩室症では食前、食後でも、憩室のある部位を加圧しても痛みを生じにくい。一方、症候性大腸憩室では加圧することにより痛みを生じやすく、それは食後の方が強い。
そして、大腸壁の伸展性(コンプライアンス)は、食前は、コントロールも憩室症も変わりはないが、食後では症状がない無症候性憩室症は伸展性が増加するが、症状がある症候性憩室症では伸展性が低下する。さらに、その容積は、すべて食後に低下するが、食前食後共に無症候性憩室症の方がコントロールより大きい。用量変化は無症候性で変化が大きい。
以上から、憩室があっても症状がない理由は、憩室のある部位の伸展性が良く、ガスや便が増えても症状を来しにくいということである。
憩室症で症状が出るのは、憩室のある部位での伸展性が悪く、また、もともと少量の容積しかなく、その用量変化も小さい。つまり、管腔が狭いためであると言える。
コンプライアンス=体積変化/圧力変化なので、圧力変化=体積変化/コンプライアンスであり、コンプライアンスが小さければ圧力変化に乏しい。しかし、圧力の変化は消化管での症状を来す大きな原因である。私は、このことから、痛みの症状は、狭窄とコンプライアンスの低下によって憩室のある部位ではなく、その口側の腸管の圧力の変化が大きいためだと考えるが、この論文の著者は症候性憩室症で症状が出る理由は知覚過敏が影響していると考察している。
何が影響しているのか?
図にして考えてみる。
症状のある憩室では、憩室のある部位の物理学的な変化に乏しいことがわかる。
一方、症状がない憩室症の憩室のある部位では物理学的変化が大きい。
もし、過敏症によって症状が出現するのであれば、
より物理学的変化に大きい場合に症状が出現しやすいはずである。
しかし、実験結果では、わずかな圧力上昇で症状が出現している。
この矛盾を解決するために、
私は、ベルニューイの定理を応用した。

ベルニューイの定理からすれば、
狭い部位の前後での圧力が上昇する。
そして、全体の流量が増加すれば、狭窄のある前後での圧力変化が大きくなる。
これは、食後に痛みが増強することと合理的に矛盾しない。
仮に、コンプライアンスを0として、
実際に計算すると、管腔の筒が50㎜が5㎜に狭くなった場合、
5㎜の内圧を10㎜Hgとしても、50㎜の管腔内の内圧は75㎜Hgに上昇する。
管腔の狭い部位の圧力は非常に低く、
それに相関する管腔の広い部位の圧力は、
腸管が破れる可能性のある圧力(80㎜Hg)に近い。
つまり、狭い管腔内で痛みを生じる圧力に達する前に、
広い管腔の高圧により症状を生じる可能性が高いと結論される。
では、このような状況の中で、
憩室症のある場合、どのような食事をすべきか?
憩室があっても症状のない場合は、
腸管を広狭い管腔内げる作用のある食物繊維は問題はないのかもしれない。
しかし、一回でも憩室炎を生じたことがあれば、
憩室のある部位でのコンプライアンスが低下する可能性があり、
腹部膨満、腹痛などの
腹部症状を有する場には、コンプライアンスの低下によって、
食物繊維の多い便が憩室のある部位で停滞する危険性があるので、
憩室炎の再発を来しやすくなる。
つまり、高繊維食は、憩室炎の再発を生じやすくなる。
要は、憩室のない部位での圧力上昇を抑制することが必要となる。
圧力変化に最も関与するのは、ガスの量である。
つまり、ガスの発生を抑制する低FODMAP食が有用と導かれる。
低FODMAP食で、ガスの発生を抑制し、
高繊維食を回避することによって、
憩室炎の再発を抑制できる。
これが、私の憩室に対する新説である。
これについては以下の論文に記した。
Logical hypothesis: Low FODMAP diet to prevent diverticulitis
http://www.wjgnet.com/2150-5349/


コメント
このブログにコメントするにはログインが必要です。
さんログアウト
この記事には許可ユーザしかコメントができません。