炎症性腸疾患の遺伝子異常
炎症性腸疾患(IBD)には、クローン病(CD)、潰瘍性大腸炎(UC)の二つがありますが、これらを有する人に遺伝子異常が発見され、IBDの原因が理解されつつあります。
IBDは、リウマチのように免疫機能が過敏に反応して炎症を生じるとされ、その異常を生じる原因として、「感受性遺伝子」が考えられています。つまり、この感受性遺伝子の出現によって、異常な免疫反応が起こるというわけです。
感受性遺伝子の同定は、1990年頃からPCR法の技術によって行われ、1990年代後半から、IBDに関係する感受性遺伝子が報告されるようになりました。その後、全ゲノム相関解析の進歩によって、2010年には30の異常部位が同定され、2012年には100個以上の異常遺伝子、さらにゲノムワイド関連解析(GWAS)によって、2015年には発症に関わるゲノム領域が150カ所以上報告されました。こして、これらの遺伝子異常によって、ウイルスや細菌への感受性や様々な免疫反応に異常をきたすことが判明しました。日本の研究者からは、日本独特の遺伝子異常があるのではないかと考えられましたが、世界規模での解析の結果、2015年、IBDの発症に関わるゲノム領域は欧米人と非欧米人で共通していることが分かりました。さらに、同年、子供の時にクローン病を発症した男性のうちの約4%の人は、XIAP遺伝子が原因による発症だと推測されました。(XIAP遺伝子は、2型X連鎖リンパ増殖性症候群(XLP2)という、ほぼ男性だけにまれに起こる、生まれつき免疫のしくみが正常に働かない病気(原発性免疫不全)の一種と関係しています。)
また、2016年、英国のCleynenらは欧州、北米、オーストラリアの16か国、3万4,819例の患者(クローン病1万9,713例、UC 1万4,683例)の遺伝子異常を分析した結果、多くの遺伝子異常が、CDとUCに共通しているため、現在定義されるクローン病とUCという分類よりも、3群(回腸クローン病、大腸クローン病、UC)のほうがより適切であると示唆しました。(つまり、クローン病は2つに分類される。)
IBDは、日本でも増加の一途をたどっていますが、オーストラリアでは、小児のIBDも急増しています(下図)。
では、IBDの遺伝子異常は、どうして生じるのでしょうか?
オーストラリアは世界有数のウラン輸出国ですが、原発はなく、放射能の影響は考えられません。何らかの感染症とするならば、1980~1990年から世界で、新たに発生した病原体が原因かもしれません。しかし、そのような病原体はあるのでしょうか?では、何でしょうか?薬剤でしょうか?化学物質でしょうか?食品でしょうか?これらには、1980~1990年から新たに世界に誕生(あるいは流行)したものはないとは言えません。いずれにせよ、なんらかの世界規模(世界共通)の因子が影響しているのは確かです。
#私の妄想:これらの遺伝子異常は、「がん遺伝子」のように、人類に潜在するもので、殆どの人が持っていて、何らかのトリガーによって実際の異常として発現するのではないか?
<文献・資料>
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https://medley.life/news/item/55658194b489520901bbacc4
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Inherited determinants of Crohn's disease and
ulcerative colitis phenotypes: a genetic association study.

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