著:オフィス宇野コラム

 

 

2016713日のクローズアップ現代+で、

 

非常に重要な問題がサラリと紹介されて、あっけなく終了した。

 

http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3838/

 

この問題は、日本の医療問題の根本的課題であり、

 

しつこく、追求したい。

 

まず、TV放送内容を紹介する。

 

癌に有効だが、高価な薬が出現してきた。

 

その薬(オプジーボ)の価格は一月266万円。

 

く1図1

 

しかし、高額療養費制度によって、個人負担は、12千円となる。

 

く2

 

つまり、265万円は国の負担になる。

 

これは、そのまま国民医療費となる。

 

かりに、肺がん患者の半数がこの薬で治療を受けた場合、

 

17500億円の国の負担となる。(医療費が増加する)

 

これに対し、異議を唱えたのが日本赤十字社医療センターの国頭英夫医師である。

 


く4

 

このままでは、国の医療費がもたない。

 

現在の医療費のうち、薬剤費は85000億円であるが、

 

このままでは、2025年の国民医療費は現在の2倍の80億円になる。

 

く5

 

く6

 

その理由は、今後も、高価な薬が登場する予定であるからだ。
 

 く7

国頭英夫医師は、年齢制限などを提案した。

く8
 

 

 

く8図1

 

 

 

く10図1

 


 

そして、番組視聴者からの意見では、どうして、それほど薬が高いのか?

 

という疑問が多かった。
 

く11図1


それに対して、東京大学の五十嵐中特任准教授は、

「ひとつの薬が出来るまでに、2万分の1、3万分の1の成功率で、他は全部失敗で、さらに動物実験、臨床実験にお金がかかる。また、最近の薬はバイオや遺伝子技術を使用するため高くなる」

と説明した。

 

同じような問題は、世界の先進国でも同様であり、

イギリスでは、費用対効果を指標として、効果が低い場合は、国が負担しないことが説明された。

 

13図1

 


以上


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<宇野コラムの私見>


まず、初めの疑問は、医療費高騰の設定が80億円でいいのか?ということである。

そもそも、2025年には団塊の世代が一斉に高齢者になるので、

介護費用が増大するとともに、医療の受け皿(医療施設やベッド数)とマンパワーも不足する。

(都知事に立候補した鳥越氏は、がん検診100%受診を目標に打ち立てたが、その受け皿やマンパワーを計算しているのか?疑問である)

介護職員の低給与の改善により、さらに、費用が増加することもある。

そして、団塊の世代は介護だけではなく、がんを発症するリスクも高い。

高額な抗がん剤の問題の前に、そもそも、医療が破たんするリスクが高い。

その上で、議論する必要がある。

そして、現在の介護費用や年金の予想額は、ある年齢で、ある程度の割合の人が、がんで死亡することが見込まれているであろう。

高額な薬剤で、寿命が延びることによって、介護費用や年金のさらなる増大につながるのではないか?

つまり、現在の社会保障費に高額薬剤を上乗せすることは、計算上、困難であろうと思われる。



次に、「高額な薬剤は、その開発に非常にお金がかかるために仕方がない」

という話である。

これは、そのまま聴けば、「そうか」と思うが、

しかし、それは、資本主義社会の話である。

「開発費をいくら使っても、いいものは売れる」

これは、車やIT製品には当てはまるであろう。

しかし、高額な薬は結果として、国が補てんするので、車やIT製品とは異なる。

国が補てんするというシステムは、ある意味、社会主義的制度であり、

それには規制が必要であろう。

(社会主義の医療制度の究極は、旧ソ連であり、地方病院でがんと診断されれば、病名も告げられずに癌病院への片道切符が渡され、そのまま、退院できないという状況があった。実際に、見学したことがあるが、窓に鉄格子があった)

つまり、開発費を企業努力で抑制すべきではなかろうか?

効果があっても、高い薬は売れないということを認識してこそ、企業努力が行われれるであろうし、

製薬メーカーも、医師に弁当を配るななどの訳のわからない費用を抑制すべきではなかろうか?


高い車を買っても、税金が高くなるだけで、国からの補てんはない。

薬だけが、異質なのである。

いくら、お金を使っても、最終的に国が補てんしてくれるという、

「垂れ流し」の現状は、おかしくはないか?