腸内フローラ:短鎖脂肪酸(SCFA)と肥満
2015年2月のNHKスペシャルで、「腸内フローラ」の番組が大反響のため、ついに本まで出版されたという。
「最先端の情報をお届けします」と、その本の初めに書いてある。
その本の中では、短鎖脂肪酸(SCFA)が肥満を抑制すると記されている。そして、短鎖脂肪酸を作り出す菌は野菜などの食物繊維であり、食物繊維を積極的に摂取するように、放送でも本にも記載された。
この理論を述べているのは、本によれば、東京農業大学の木村郁夫氏の研究である。この理論は、難消化性食物が発酵してSCFAが産生され、エネルギー源となるが、過剰なSCFAによってフィードバック機能が働き、その結果、肥満を抑制するというものである。その理論における実験は動物実験である。
であれば、痩せている人間では、SCFAが高く、肥満であればSCFAが低いということになる。
2014年、カナダのトロント大学から、人間での実験結果が報告された。
Int
J Obes (Lond). 2014 Dec;38(12):1525-31
Evidence for greater production of colonic short-chain fatty acids in overweight than leanhumans.
11人の痩せているグループと11人の太っているグループにおいて、両群の便のSCFAと、放射線同位元素を用いて腸内のSCFAの量が比較された。
結果は、
肥満群と痩身群でのSCFA吸収率に差はなかった(p=0.74)が、便のSCFAは肥満群で多く(p=0.011)、さらにpHも肥満群で低かった(p=0.005)。
SCFAの吸収率に差がなかったことから、
肥満者では、多くのSCFAが産生されているということになる。
つまり、
人間の肥満は過発酵によるSCFAの増加にリンクしていたのである。
(この論文は、NHKの放送以前に発表されている。)
インスリンとSCFAについても、2015年10月の論文でも、以下のように記されている。
Canfora
EE, Jocken JW, Blaak EE.
Short-chain
fatty acids in control of body weight and insulin sensitivity.
Nat Rev Endocrinol. 2015 Oct;11(10):577-91.
However, most data are derived from animal
and in vitro studies, and consequently the importance of SCFA and differential SCFA availability in human energy and substrate metabolism remains to be
fully established.
ほとんどのデータは、動物実験およびin vitroの研究であり、人間でのSCFAのエネルギー代謝については確立されていない。
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腸内フローラは、人間の間でも、その組成は大きく異なる。
人間の腸内細菌叢と異なる動物を用いて動物の食べる餌での実験結果は、
人間に適応できるのか?
まずは、それが問題である。


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