低フォドマップ食に対する批判的論文を批判する
日本「低フォドマップ食」推進会:宇野良治
2015年、4月27日、
デンマークから過敏性腸症候群の食事療法である「低フォドマップ食」に対して、批判的な論文が掲載された。
[Insufficient
evidence of the effect of the low FODMAP diet on irritable bowel syndrome].
Krogsgaard LR, Lyngesen M, Bytzer P.
Ugeskr
Laeger. 2015 Apr 27;177(18). pii: V12140741. Danish.
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med tilladelse fra www.fodmapfactory.com.
今回、その論文に反論する。
論文の内容は以下である。(デンマーク語であることもあり、一部省略する。)
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過敏性腸症候群(IBS)は頻繁に発生する機能性胃腸障害である[1]。デンマークでは、50歳未満の成人の16%にIBSの症状がある [2]。IBSは排便回数と排便習慣に関連する腹痛/不快感を特徴としている。IBS患者の症状は食事療法と関連しており、特定の食品の摂取によって悪化する [3、4]。
治療は、症状に限定されるものではなく、食事および生活様式の変更が含まれ、食事療法が検討されている[5]。近年の焦点は、いわゆる低 -FODMAP食(LFD)である。FODMAPは、発酵短鎖炭水化物のグループの頭字語である:発酵オリゴ- 、ジ-およびモノの糖類、および、ポリオール類をあらわしている。
FODMAPsは小腸内で限られた範囲内に吸収され、消化されずに大腸に到達する。それらは、腸管内腔で浸透圧性の液含有量の増加と、腸内細菌の発酵によりガスの増加を引き起こす
[6]。IBSの患者では、それらが原因で症状を引き起こすと考えられている [7]。これは、内臓過敏症や健康者でも発生する [6]、[8]。
低フォドマップ食はフォドマップの含有量が高い食品を4-8週間の期間、制限することから開始する。そして、患者の症状がない場合、一回に一つのフォドマップ食品について試され、どれほどの量であれば大丈夫なのかが試験される。この比較的新しい食事療法は、IBSの治療法として、インターネット上多くの情報が議論され、一部の専門家の間ではIBSの治療の第一選択に位置づけられた[9]。
この論文では、これまでの研究を検証する。
3つの後ろ向き研究では、IBSでの低フォドマップ食の影響を評価したものである[10-12]。これらは、一般的な従来のIBSの食事指導と低フォドマップ食を比較したものであるが、それによれば、通常のIBSの食事指導のガイドラインよりも症状の改善がみられた。
デンマークの前向き研究では、19人のIBS患者に低フォドマップ食の前後で症状や生活の質を調べた[13]。IBSを持っていた8人の患者に、すべてのパラメータではなく、主に下痢の改善がみられた。
ニュージーランドからの研究では低フォドマップ食指導の観察期間より少し後に患者の症状が72%改善した[14]。しかし、この研究では、研究が終了したのはわずか47%(192人のうち90人)しかないということが問題である。また、食事療法期間と症状の継続期間にも問題がある。(問題点1)
無作為(ランダム)化試験
これまで6つのランダム化試験がある。4つの研究ではウォッシュアウト期間とクロスオーバーデザイン[9、16、18、19]を使用し、二つは平行したデザインであった[15、17]。介入試験では、4週間に2日から変化した。5つの試験では、患者に対してブラインドされた。4つの試験では、すべての食事は準備され、フォドマップ食で症状が誘発された。
65人のランダム化試験では、IBSを有する患者に、通常の食事のアドバイスと低フォドマップ食の指導を比較された[19]。両方の介入群では4週間後に症状スコアの減少を観察したが、群間に差は認めなかった。ランダム化された41人の研究では、低フォドマップ食と習慣的な食事指導が割り振られた[17]。その研究では通常の食事指導で悪化は見られなかった。(問題点2)。IBSとフルクトース吸収不良の25人の二重盲検法では、グルコース混合物は症状がなかったが、高濃度のフルクトースとフォドマップ飲料は症状の悪化をしめした[19]。非セリアックグルテン過敏症とIBSでは低フォドマップを継続し、グルテン量を変化させたが、全てで症状の悪化を認めた。(問題点3)
オーストラリアの標準食事と低フォドマップ食の効果を比較した無作為化、二重盲検クロスオーバー試験では
[9]、両方の食事は、ウォッシュアウト期間に3週間とした。症状は、視覚的アナログスケール(VAS)で毎日記録した。排便は直ちに凍結してサンプリングした。便回数、粘稠度及び重量は、独立した評価者により評価した。エンドポイントは、各食事療法の最後の14日間で症状の違いをみた。30人の患者の合計は、試験を完了した。これらの25(83%)のうち、正しく盲検化の試みにもかかわらず、LFDを識別した。平均VASは、ベースラインが36点、オーストラリアの標準食で44.9に上昇し、低フォドマップ食では、22.8に低下した。これらの差は統計的に有意だった。効果は下痢IBSの患者で便秘とIBSの患者の両方でみられた。便の硬さと膨満感、腹部の痛みや不満で有意な差があった。これとは対照的に、便の硬さ、便回数または重量の独立した評価に差は認められませんでした。
ディスカッション
IBSの食事指導を比較する研究は、その食事をブラインドすることは非常に難しい。
その結果、介入する質を高めてもプラセボ効果の関与が否定できない。実際に、IBS治療の介入試験では高いプラセボ効果が知られている[20]。(問題点4)
6つのランダム化試験[9、15-19]では、5つの有効性を示した。しかり、これらにはコントロールの選択に疑問がある。以下省略。(反論:何が問題なのか?科学的に論破していない。)
研究[19]では、患者はフルクタン19gまでを含む3つの試験飲料(フルクトース50g、プラセボとしてグルコース20g)を使用した。(反論:何が問題なのか不明。)
報告[15]では、低フォドマップ食は対照群と差がなかった。(反論:学会抄録で、論文でない。)以下、意味不明。
低フォドマップ食が症状へ与える時間は大幅に異なっている。2日間の介入試験では、1日後に症状が出現している。また、ハルモス研究では7日以内に症状が出現している[18]。また、後ろ向き検査では、1人は3週間半で効果が出現した[11]。
(問題点5)
また、研究の対象者は、主に胃腸科[12、15-18]または栄養士[10、11、14、16、19]のいずれか、又はフルクトース吸収不良[9]、[14]のための実験を行った呼気検査センターから募集された。彼らは、特に食事介入に動機付けされた選択された集団であったかもしれない。しかし、プライマリケアにおけるIBSの患者への影響を検討した研究が不足している。
低フォドマップ食の重要な課題は、長期的に患者が十分な繊維摂取ができるのか?バランスの良い食事なのか?ということにあり、この食事が、他の症状や健康に悪影響を与えないか?それらについての研究がない。(問題点6)
したがって、低フォドマップ食の概念は、IBSの症状に効果を有するかどうかの研究が不足している。IBSの患者に対するファーストライン治療として、低フォドマップ食の推奨は、観察研究と無作為化介入研究により構成される不十分な根拠に基づいている。高用量でFODMAPsは消化器症状を引き起こす可能性があることの証拠であるように見えるが、これの臨床的関連性には限界がある。低フォドマップ食が伝統的な食事に関する勧告よりも良好な症状コントロールを提供する証拠が欠けている。低フォドマップ食の研究ではプラセボ効果が除外できない。また、プライマリケアで選択されていない患者における食事療法の効果の研究が欠如している。(問題点7)
文献
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- Krogsgaard LR, Engsbro AL, Bytzer P.
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<反対弁論>
問題点1:この研究では、研究が終了したのはわずか47%(192人のうち90人)しかないということが問題である。また、食事療法期間と症状の継続期間にも問題がある。
反論:研究者が選択して対象者を故意に脱落させたわけではない。逆に、それだけの自然脱落者がいたということは、その研究に、作為的介入がなかったことを現しているともとらえることができる。この意味は、研究者であれば理解できよう。
問題点2:その研究では通常の食事指導で悪化は見られなかった。
反論:この論文では、通常の食事指導では23%、低フォドマップ食では68%が改善したが、ビフィズス菌や短鎖脂肪酸の量は変化しなかったというものである。通常のIBSの食事指導で悪化していないという意味はなく、低フォドマップ食が、従来のIBSの食事指導よりも3倍効果があったことに意味がある。
問題点3:非セリアックグルテン過敏症とIBSでは低フォドマップを継続し、グルテン量を変化させたが、全てで症状の悪化を認めた。
反論:この研究は、非セリアック・グルテン過敏症の患者にグルテンだけの制限をした場合と低フォドマップ食を比較したものであり、結果的にグルテンを除去した場合には効果がなく、低フォドマップが有効であるというものである。
問題点4:実際に、IBS治療の介入試験では高いプラセボ効果が知られている[20]。
反論:この論文は、そもそも、これまでのIBS治療研究がおかしいというもので、低フォドマップ食が世界的に認識される前の2005年のものである。調査された治療は、Psyllium、Domperidone、Triembutine、チモロール、ジサイクロミン、塩酸、Octatropine+ジアゼパム、Ispaghulaの殻、トリミプラミン、ジフェニールヒダント、ペパーミント油、Rociverine+のトリメブチン、ブランbiscuits、
Desipramine、Lidamidine、Cimetropramine、Pirenzapine、Cimetropramine、
Cisapride、Wheatふすま、不溶性ふすま繊維、ロキシグルミド、ロイプロリド、Loperimide、Otiliniumブロマイド、アミトリプチリン、Aloesteron、テガセロド、活性炭、アルベリン、クエン酸、Naloxene、クロニジンである。今回の低フォドマップ食とは全く関係ない。
問題点5:低フォドマップ食が症状へ与える時間は大幅に異なっている。2日間の介入試験では、1日後に症状が出現している。また、ハルモス研究では7日以内に症状が出現している[18]。また、後ろ向き検査では、1人は3週間半で効果が出現した[11]。
反論:高フォドマップ食で症状を来すまでには個人差があり、数時間から数日を要す場合もあり、また、症状改善にも個人差があり、そのために少なくとも4-6週間行うべきとしている。
問題点6:低フォドマップ食の重要な課題は、長期的に患者が十分な繊維摂取ができるのか?バランスの良い食事なのか?ということにあり、この食事が、他の症状や健康に悪影響を与えないか?それらについての研究がない。
反論:低フォドマップ食であっても、いわゆる3大栄養素の摂取に問題はない。また、カロリー面で不足するということもない。食物繊維を気にするのであれば、食物繊維の含まれている低フォドマップ食を積極的に摂取すれば問題ない。
問題点7:プライマリケアで選択されていない患者における食事療法の効果の研究が欠如している。
反論:これまでの研究では、症状のある人のほかに、健康ボランティアでも検証されている。健康ボランティアでも高フォドマップ食では腸内のガスが増加することは知られている。つまり、それらのガスが症状を来す人と来さない人がいるということである。そのため、低フォドマップ食をすべき人は、ガスの増加で、腹痛や便通障害を来す人に限定される。プライマリケアでは、それを考慮して指導すべきである。
日本の「自前の研究で有効であれば、健康的な食品として許可する」
というレベルは、
世界には全く通用しないのは自明の理である。

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