デンマーク発:IBSでの低フォドマップ食とプロバイオティクスの比較研究

 

医療ジャーナリスト:宇野良治

 

これまで、過敏性腸症候群(IBS)に対して、乳酸菌によるプロバイティクス(probiotics)(注1)が有効であるとされてきたが、低フォドマップ食の出現で、その効果が問われてきた。

なぜならば、腸内で乳酸菌を増やすためにヨーグルトを摂取するプレバイオティクス(prebiotics)(注2)も、日本では「腸の調子を整える」というトクホのお墨付きを国から認められているが、そのヨーグルトは低フォドマップ的にはIBSを悪化させる食品(高フォドマップ食)であることがわかっている。そのために、直接的に腸内細菌が入ったカプセルで飲むプロバイオティクスも本当に、有効なのか?と疑問視されてきたからである。

 

(注1)            世界的にいうと、プロバイオティクスは、腸まで届くという乳酸菌が入った甘い飲料ではなく、乳酸菌が数十億個入ったカプセル(胃で溶けないカプセルのため菌が死なない)を2回、数週間服用するというものである。

(注2)           日本では、 何十年もの間、「乳酸菌飲料を飲んで、腸の乳酸菌を増やしましょう」と宣伝されていたが、実際は、腸に届く前に菌が全滅することがわかり、その後、(ひらきなおったかのように)乳酸菌の死骸であっても、腸の乳酸菌を増加させることが出来るという理論をもとに、ヨーグルトやオリゴ糖(乳酸菌を増やす)を摂取しましょうというのがプレバイオティクス。

 

20141121日、デンマークから、低フォドマップ食と乳酸菌のカプセルによるプロバイオティクスの効果を比較した研究が報告された。

 

World J Gastroenterol. 2014 Nov 21;20(43):16215-26.

Low FODMAP diet vs Lactobacillus rhamnosus GG in irritable bowel syndrome.

 

対象は、120人のIBS患者である。

使用された乳酸菌カプセルは、乳酸菌の優等生ともいえる「乳酸菌ラムノサス」で、1カプセル中に60億個の菌を含んでいて、それを12カプセル服用した。つまり、一日120億個の乳酸菌を摂取した。

その結果は以下である。

(図)
 でん1

両者ともに、有効であったが、統計学的には低フォドマップ食がプロバイオティクスより有効であった。

(図)

 でん2
論文では、
低フォドマップ食も、
プロバイオティクスも、
ともに、IBS型の下痢型により効果的であると結論しているが、
そうではなく、
下痢型の場合のベースの症状がより悪いために、統計学的に、より有意差があったのであって、実際のスコアの改善は便秘型でも改善している。

 

日本では、トクホとして、プレバイオティクスが流行しているが、

わざわざ、甘くカロリーのある、高フォドマップのトクホを飲んで、乳酸菌を増やさずとも、腸に達する乳酸菌をカプセルで直接飲んだ方が、理論的にも、実際的にも有用である。

 

今回の研究で用いられている乳酸菌ラムノサスカプセルはデンマーク製だが、類似した商品はインターネットでも入手できるようである。